経験に基づく投資の話 その⑰ 違和感があって、ちょっと修正 年末に向けての米国短期見通し

サマーラリーはもう終わった、と思っていましたが、お構いなしに上昇しています。出てきた景気指標と企業の個別ニュース、業績、PERなどに見る投資家センチメントなどをいろいろ見ると、どうも違和感を感じ、明確な利上げ終了までは調整があるのではないか、と感じるようになりました。

現在のマーケットのはしゃぎ振りは、先週の「CPI、前年比3.0%上昇に留まる」「これなら年内利上げは1回、0.25%で終わるかも」と期待したに違いありません。

筆者ヘンデルも7月2日の投稿で「5月CPI4.0%でFFレートは5.25%、インフレ撲滅は近い」とコメントしました。その後7月12日発表の6月CPIは3.0%とさらに低下、マーケットは「ヒャッハー!」となったのは当然だと思います。

ただ、その後です。TSLAの決算が出ました。EPSもTopLineも良かった(予想を上回った)のですが、「利益率」が下がったのです。そりゃ当ったり前でありまして、値引きしていっぱい売ったのですから、そりゃ利益率は下がります。9%台でしたか、でもそれって既存の大手自動車会社に比べれば、とんでもなく高い利益率なのですけれど。

しかし結果、マーケットの評価(株価)は1割下がってしまいました。以前筆者はここで書きました。EVって昔のPCのように、毎年性能が上がって、値段は下がるんじゃないのか、という見方です。

日本ではテスラはいまだに高級車イメージですが(確かに数年前は車格も価格も外国高級車でした)、今ではアメリカでは高級車ではなく、安い、いわばカローラだ、と聞きました。調べてみると日本でもモデル3は補助金も合わせると410万円から買えます。

TSLAは今後メキシコに、インドに工場を作る具体的計画があります。それから想定して、PER60倍台はまだ納得できると思います。

でもNVDAのPE200倍台はなんとも納得しかねます。違和感を覚えます。これはやり過ぎなんじゃないの?と思う次第です。

AAPLのニュースです。9月に発売を予定しているiPhone15ProとiPhone15ProMaxの製造が上手くいっていないそうです。初回出荷台数を絞り込むとのことです。AAPLに問題があるのではなく、LGのスクリーン供給が歩留まりが悪くて滞っているそうです。iPhone15は久々のメジャーアップグレードと聞いていますが、量産が間に合わないそうです。

にも拘わらず株価はたいして下がっていません。この楽観も筆者には違和感があります。

景気指標です。6月CPIの3.0%ですが、この内容はエネルギーの下げが大きく、サービスや家賃がまだ下がっていないのです。平均時給の伸びが前年比4.4%と高止まりしています。賃金インフレはしつこいことで知られており、FRBメンバーは警戒を緩めてはいないと思います。

住宅着工件数も、これほど金利が上がったにも拘わらず4月140.1万戸、5月163.1万戸!、6月143.4万戸と再加速の様相です。

ウクライナ情勢です。NATOサミットでは前に進みませんでした。長引くことが確認されたと思います。それどころか、ウクライナ小麦の輸出について問題が発生しています。

さらに、昨年は暖冬で助かりましたが、今年はまたわかりません。エネルギー価格が怪しげな動きです。筆者ヘンデルのポートフォリオはジワリと評価益が増えています。高金利で景気後退を心配していましたが、どっこい景気は堅調、金利上げはまだ続く、となれば「エネルギー」「素材」でしょう。「農作物」もかもしれません。

XLB(素材セレクト・セクターSPDRファンド)の買付を検討します。

そんなに遠くない将来(10月とか年末とか)の買い場にそなえ、評価損株式の一部売却を検討します。とはいえ成長ストーリーに変化がなければ、やっぱり売りません。決算のない、個人投資家の良いところです。

先週から始まった決算シーズンですが、今週がヤマ場です。売却はこれを見てから、が正しい投資態度です。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*