経験に基づく投資の話 その④「NISAは何買ったらいいかねぇ?」

ある方から質問がありました。「NISAは何を買ったらいいかねぇ」「手堅くマイクロソフトかアップルかねぇ?」 ・・・「ちょっと違うかも」です。

マイクロソフト株式はその昔のWindows98のころから、私自身はお金がなくて買えなかったけれど、お客様には「98」が出たところから強力オススメしました。あれ以来、もう四半世紀になります。

その間、MSFT(マイクロソフト)はずっと成長株であり続け、昨年9月末には現金と同等物で1600億ドル(130円で約14兆円!)を持つ、ご存じスーパーBIGカンパニーになりました。このお金は即、買収に、配当に、何にでも使えます。

GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)+NT(エヌビディア、テスラ)並べなおして「FATMAN-G」は去年の今頃、毎晩、ゲップを通り越して吐き気がするほど上昇しました。

筆者はこの吐き気がするほどの上昇には覚えがありました。1998年から2000年のITバブルです。筆者は当時勤務しておりました会社のなかで、個人営業としては1番、ITバブルに踊った数字を残したそうです。私ごときがそんなはずはないだろ、という逆の自信がありまして、多分それは瞬間風速のことだと思います。

振り返ってみますと、Y2K問題(古いPCが西暦2000年を00年と誤認識、誤作動してしまう恐れがあった)は杞憂に終わり、という安心感とともにITバブルはピークとなりました。

Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria. 強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑と伴に育ち、楽観の中で成熟し、陶酔とともに消えてゆく ジョン・テンプルトン

実はY2Kが心配だから、1999年、世界中で一斉にパソコンを買い替えて済んでいたのでした。インターネットの普及期でもありました。それ故の、強烈な需要の先喰いが起きたのです。

結果、Y2Kを通り過ぎたら、もう誰もPCを買わなくなったのです。PCは進化するからまだマシで、山のように作った光ファイバーの在庫は腐らないのです。

この図式って、今回のコロナと同じです。リモートが当たり前の時代になりましたから、自宅勤務用のPC需要が急遽発生したわけです。さらには「自宅用(エンドユーザー)用セキュリティ」「持って行かなくてもいい電子契約書」「リモート診療」など、これらソフトをネットで配信するSaaS(Software as a Service)も大変な相場になりました。 23年前でいえば、ドットコム(.com)が社名につけばなんでも急騰したのと似ています。

ITバブル当時、筆者のスター銘柄はCSCO(シスコシシテムズ)でした。なにせ毎年、2分割したのです。ルーターの世界No.1企業でした。現在もです。当時、ウィンテルコ(ウインドウズ+インテル+シスコ)なんて呼ばれました。今でいえば上記GAFAMと同じです。

History doesn’t repeat itself, but it rhymes.  歴史は繰り返さないが、韻を踏む マーク・トウェイン

インターネットで必須のルーターは10年後、20年後も必要だ、と当時思っておりまして、実際その通りになっています。しかし現在のCSCOに当時の成長力、夢は最早ないのです。

グーグル検索やグーグルマップ、Gmail、これらは10年後も必要で、存在するでしょう。でも、実は10年後には当たり前すぎて、成長力はなくなっているかもしれません。すでにチャットGPT、LINEといった強力なライバルが存在しています。

さて、やっと本日のお題です。本日、筆者はFM(iShares MSCI Frontier and Select EM ETF:除く中国の新興国、組み入れ1番はベトナム)をNISAで、それとGD(ゼネラル・ダイナミクス)を先ほど現地で買い付けました。FMについては毎月定額投資で買い増しする登録もしました。

FMはチャートで、緩やかではありますが三尊底(筆者経験では底入れ確率9割!)を脱したタイミングです。今後米国のリセッションは避けられないでしょうから、来年には金利は下がるでしょう。米国金利低下は新興国相場に追い風です。(もうGAFAMではない) 

米国金利低下は来年からでしょうし、株は先を見ると言ってもギクシャクがあるのが新興国です。なのでいきなりフルインベストは避けて、チャートのタイミングで今月は予定金額(NISA)の半分買って、もう半分は定額毎月買付で、という作戦です。

新興国は人口の増加もあって、先進国よりも高い成長が期待できます。したがって、長期的には高いリターンが期待できます。人口の減る国、日本の円投資家にとってはリスクヘッジになると思います。資産の一部を長期で、投資するにはこれだと思うのです。

向こう数年の時間を予測して、今年のNISAは新興国ETFの「FM」という選択をしました。

かつて2000年ITバブル崩壊のあとにはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ、サウスアフリカ:ゴールドマンのジム・オニールが2001年に提唱)の大相場がきたのです。 今回も「歴史は韻を踏む」かもしれません。でも今回、BRICSのうちロシアと中国は除きます。当たり前ですね。

中国はゼロコロナ政策の転換で一旦は戻るでしょうけれど、政治のみならず経済のルールまで、偉い人のご意向で変えちゃう国では、長いお金は預けられません。ましてやいよいよ人口が減る国ですし、長期で見て、食指が動きません。

防衛関連では、去年から筆者はLTM(ロッキード・マーチン)に投資をしています。どこの国も防衛費が増額になり、いくつもの国でF-35を採用する報道があったからです。ご存じでしょうか、飛行機って50年飛ぶんです。そのメンテナンス費用を考えると、LTMには向こう50年の安定収入が見込めるわけです。

ここでさらに本日、GDを買付けたのは、昨今の戦車供与の話題があり、また先日の決算で今年のガイダンスが良くなくて、大きく下がったところだという理由です。また、25年以上連続増配という配当貴族の一員でもあります。

筆者は、巨星「FATMAN-G」相場のあとの、世界のお金の行き場所を探しているのです。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

NHK クラシック音楽館「指揮者なしのオーケストラ 第九に挑む!」これは凄い。

表題の番組は、兄弟で「迫力のマルチ画面!指揮なしのオーケストラ第九に挑む」という番組もあります。二つの番組は実は同じコンサートのドキュメンタリーです。

前者は「トリトン晴れた海のオーケストラ」が指揮者なしで、ベートーヴェンの交響曲第九番を演奏者が楽譜から作り上げる物語でした。私はこれにシビれまして、録画を3度見ました。

年末、後者の放送があり、これは第九を通しで見せて(聴かせて)くれました。これが感激モノで、鳥肌が立ちました。最後はプレーヤーの映像も手伝って、ウルウル来ました。演奏者一人一人の呼吸、視線が良くわかりました。久しぶりに集中して聴き通しました。コンサートホールではない第九に、これほど集中したのは、いつ以来かと考えてしまうほどの名演でした。

過去、私が一番シビれた第九はフルトヴェングラーの「バイロイトの第九」(1951年録音)でした。 45年以上も前、私が学生の時、三畳一間の下宿で、FMラジオから流れた第九に「ホルン、落ちたよ(音をはずした)」と思いつつ、4楽章では感動と感激で涙したものでした。もちろん、当時のことですから、のちに「バイロイトの第九」と呼ばれる名演奏だなんて知る由もありません。 ・・ん~、なんて感受性の豊かな時代だったのでしょう。

余談です。 年齢を重ねるごとに、残念なことに感受性は薄れ、音楽で涙することはなくなってしまいました。(それに絶対音感を持っていたのですが、加齢により今ではほぼ全音、高く聞こえてしまいます。スコアを見ながら聴くとき、目と耳で修正が必要です)

指揮者なしの「晴れオケ」の第九は。ひょっとしたら、学生の時以来の感激だったかもしれません。

番組はコンサート・マスターの矢部達也さんが「皆さん100回とか200回とか弾いた方もいるかもしれないんですけど(300回くらいやってる、の声)、そういう経験とか蓄積とかノウハウはものすごい大事なんですけど、とりあえずそれは今置いておいて、今はじめて楽譜を見てやっているという感じでいきたいんです」という言葉から始まります。

ご覧の通り、アタマは2ndバイオリンとチェロの「刻み」で始まります。セコバイのトップ、双紙正哉さんの呼吸で、チェロとアイコンタクトを取りつつ始まります。(指揮者がいないから)

するとコンマスの矢部さんが「あのー、出だしのところなんですけど、なんでトレモロじゃないんでしょうね?」

双紙さん「やっぱり6連符って、16音符でもないし32分音符でもないし、6連。6連が(ベートーヴェンは)欲しかった・・」

確かに6連符です。ベートーヴェンは音の「6つの粒」が欲しかったはずだ、と彼らは思いました。

演ってみると・・・ 矢部さん「すごくいい感じだと思う」 するとコントラバストップの池松宏さん「(音が)でかすぎると思うんだけど」「なんか合うことにすごい神経がいってる気がして、それよりも。なんかね」

それぞれプロオケのコンマスだったり、首席奏者で芸大教授だったりする人たちが、こんなに自分の思いを表に出してをぶつけあうのです。凄いです。

実は筆者ヘンデルは学生オーケストラの一員でした。ニックネームがヘンデルってくらいで、クラシックファンです。本ブログのドメインはブラームス-シンフォニー . ネットです。学生のアマチュアオケの団員としては、指揮者の指示、意図通りに演奏すれば良くて、褒めてもらえれば嬉しくて、そうすれば良い演奏になった、というのが正直なところです。指揮者の先生から解釈を教えてもらうと、「そうなのか!ブルックナーはそう描いたのか!」と目を丸くするような、純真な若者だったのでありました。

番組のナレーション  晴れオケのメンバーは、何十年という時間を楽器の演奏に捧げ、音楽と対峙してきたプロフェッショナルです。それぞれの経験と能力を持ち寄って、一つの音楽を作り上げる、晴れオケの演奏の魅力はそこにあるのです。

番組は「見せ場で輝くプレーヤーを堪能すべし」となります。登場するのがセコバイ2列目の直江智紗子さんです。彼女は神奈川フィルのセカンドのトップです。

自分の映像を見ながら 「弾いちゃってますね~。ここ大好きなんですよ」「セカンドの刻みの真骨頂」

1stバイオリン3列目の会田莉凡さん(札幌交響楽団コンサートミストレス)「ちーちゃん、めっちゃ弾いてると思ったら、双紙さん(セコバイトップ)その倍くらい(弾いてた)、なんか」  

要はセコバイの皆さん、シビれまくってたってことですね、プロなのに。 それは、羨ましいです。

次の登場はティンパニの岡田全弘さん(読売日本交響楽団首席ティンパニ奏者)

ここでは間違いなく、ティンパニが場を支配しました。指揮者でした。

「自分が誰にも合わせないで、その前に来たテンポのまま叩いてる。皆さんが僕の音を聴いてくれてるんですよね。これ、聴かないと合わないんですよ」

数年前の記憶で、プロ・アマ混成オケでしたけど、エロイカ(ベートーヴェン交響曲第3番)を聴いたときに、プロのティンパニ奏者が指揮者と、寸分のゆるみの無い一体感でステージをリードした演奏を鮮明に覚えています。その時も感銘を受けたのですが、今回の晴れオケのティンパニ、岡田さんはその時、指揮者だったと思います。

見せ場で輝くプレーヤーは派手な音ばかりではありません。1stバイオリンのトップサイド、渡邉ゆづきさん(都響副首席)の言葉。

「(コントラバスの)池松さんのD(デー:レ)は本当に『春が来た!』みたいな感じで、すごいあったかい音だったので、もうこのレの中で全部弾こうと思って(笑)」

池松さんは凄い人だと存じ上げていますが、それにしてもプロのバイオリニストからピアニシモの音に対して、最大級の賛辞です。

会田莉凡さん、映像を見ながら「あ~、今んとこなんで矢部さんが振り返ったのかって、なんでだっけって思い出した」 直江智紗子さん「なんでだっけ」

※すみません。画像が何故かサイズの変更が出来ず、アップできません。第2楽章322小節目、(U)の手前です。

莉凡さん「タッ、タッ、タッ、タのピチカートを、私最後のリハーサル、ゲネプロの時に『これってクレッシェンドしないんですか?』って言いに行っちゃったんだよね」(笑) 直江さん「へぇ~」

莉凡さん「ピチカートのクレッシェンドもしていい?」 矢部さん「もちろん、しましょう」 「あんまりしてるように聞こえなくて」 矢部さん「そうだね。聴きすぎて」 莉凡さん「三列目だから・・・」

さすがのリボンさんでも、大先輩の矢部さんには相当、遠慮しつつも、ぜんぜん遠慮してない様子がとても可愛らしかったです。実は私の旧勤務先の同僚に、相当レベルの高いアマオケのバイオリニストがおりまして、彼女がリボンさんやコントラバスの池部さんを存じ上げているのです。

では最後のエピソードです。 実はここでもお見せしたい楽譜がアップロードできません。でも第九の4楽章、有名で印象的な、それまでの1楽章、2楽章、3楽章の音楽を否定するチェロとコントラバスのレチタティーヴォ(語るように)のところです。そもそもこのチェロとコントラバスの曲調が「人が語るような」どころではない流れであり、演奏なのですが、なんでもこのあとのバリトンの独唱に連なるものだそうなので、それはそれです。

ゲネプロ(ゲネラル・プローベ:最後の通し稽古)のあとで、コントラバスとチェロの人たちが残っています。 コントラバスの池部さんとチェロのトップ、山本裕康さんが話をしているのです。

チェロとしてはコントラバスの音の上に乗りたい、のだけれど、チェロはコントラバスの前に座っているので、タイミングが取れない。(指揮者がいれば、思い通りのことができるのだが)という話で、結局、同時に出ることで速度が速くなることになりました。コンマスの矢部さんはオーボエの広田さんに、広田さんはトランペットの高橋さんに、本番前に連携したのでした。 結果、本番では聴いたこともない、ムッチャ切れの良いレチタティーヴォになりました。

チェロの山本裕康さん「こんだけ大勢の人がまったく違うことを考えてても、ひとつのことに向かって必死になってる、そういう瞬間ってなんか尊いですね」

コンマス矢部さん「同じ楽譜であっても、いろんなメッセージをみんなが受け取るんだけど、それも含めて全部許容するのがベートーヴェンの偉大さだと思うし、この音楽が何百年も生き残ている理由っていうのは、そこにあると思うんですね」

私は音楽ってのは「アンサンブル」だと思っています。太古の昔、遠くの仲間を呼ぶのに二人で大声を出したら、たまたまハモッた、これが原点ではないかと思っています。(←個人の見解です) その極大化した形が80人のオーケストラではないでしょうか。

私は好きで縦笛、横笛を吹くのですが(どちらも全く独学)、誰かとお互い初見で合わせるのが大好きです。初見の楽譜を演奏するときには、目前の楽譜と自分の音と隣の人の音しかない、すべての感覚が集中した、純粋な時間が流れるからです。そんな時間はもう何年も経験していませんけれど。

またいずれ、音楽の話でお会いします。

経験に基づく投資の話 その③ アクティブ型投信はインデックスに勝てない、と思っていませんか?

私の体感的には10数年も前から、FPの先生がたを中心にネットの中で、または活字媒体で「インデックス投信が一番だ。アクティブはダメだ」論が活発になったと思っています。アクティブファンドがなかなかインデックスに勝てないのは事実なのですが、何十年にも渡って勝ち続けているファンドもあるのに、何故だか不思議でなりませんでした。

アクティブファンド否定派の最近の根拠としては SPIVA (S&P Indices Versus Active) だと思います。

2022年6月30日データでJapanese Large CapファンドのうちS&P/TOPIX150をアンダーパフォムしている割合が10年では86.18%なのです。これはアメリカでも同様で、All Lare-CapファンドのうちS&P500をアンダーパフォームしたファンドの割合は10年で90.03%なのです。日米とも10年という期間では、約9割のアクティブ投信がインデックス投信に負けています。

ここ3~4年はGAFAMをいっぱい買っておけばメッチャ好パフォーマンスだったのです。ピーク時はSP500はGAFAM+NTでポートの約半分を占めていました。しかしファンドマネージャーとしては高PERのGAFAMばかりでファンドの半分、買ってしまう、なんて乱暴なことはできなかったと思われます。しかし一昨年まではGAFAMばかりが上がり続け、指数は上がり、アンダーパフォームするアクティブ投信がほとんどでした。

1年経った今、GAFAM+NTは見る影もなくなっています。去年6月までの1年間という短期でみると米国でアクティブがアンダーしたのは55.43%でしたから、ま、約半分近くはインデックスに勝つことができた、ということになります。

信託報酬が0.1%低いことを見つけて大威張りするマネー雑誌があったり、私としてはガッカリもしたし、世間はそういうものかと納得もしたのが、昔見た「10万円(の投資元本)で10年で1000円も違う!」という見出しでした。

信託報酬の0.1%よりもファンドマネージャーの腕でしょ、と私は千回も胸の中で叫び、百回以上、お客様に(セミナーも含め)伝えました。その典型がキャピタル世界株式ファンドです。これは日本の投信ですが、その運用は99%以上、米国のNew Perspetive Fundに投資してしまいます。

米国ニューパースペクティブファンドはキャピタルグループが1973年3月13日から運用を開始した、歴史あるファンドです。あと2か月で丸50年です。残高は1073億ドルですから、132円換算で14兆1600億円という巨大さです。ちなみに、日本のネット最大手SBI証券の投信残高を全部合わせて5兆6112億円(2023年3月)です。

私は「運用が上手いから、世界の皆がお金を預け、代が変わっても預け続ける」のだと思っています。私が、歴史あるファンドで、大きなファンドを信頼する、理由がここにあります。

さて肝心の実績です。キャピタル世界株式ファンドの販売用資料によれば、「1973年3月末に100万円を投資したと仮定した場合、2022年7月末現在で約86倍の8588万円(年率リターン9.4%)となり、この間の全世界株式の約27倍(年率リターン6.9%)を大きく上回っています」となっています。

さらに、「この実績は購入時手数料3%、信託報酬等費用年率1.72%を控除しています」とも書いてあります。 10年で1000円も違う、という淋しい考え方とは大違いです。

自分の老後資金を10年、20年預けて運用してもらうのに、または子供のお金を30年、40年という期間を預けるとして、預け先に5年とか10年の歴史しかない投信だとか、残高が1000億円以下だとかの投信は、ちょっとね、と筆者ヘンデルは思うのです。それならシンプルに全米株式連動だとか、全世界株式連動で費用の少ない投信で、という選択は正しいと思うのです。

ただ、条件反射的に「投信ならインデックス投信だ」というネット的・短絡的考え方は見直してみてはどうですか、と提案する次第です。

今日ご紹介したキャピタル世界株式ファンドを運用するキャピタルグループだけでなく、フィデリティやティー・ロウ・プライス、アライアンス、ゴールドマンなど、長期にわたって高い運用実績を続ける巨大なアクティブ運用の会社はいくつもあります。

当然、高い運用実績でないと淘汰されてしまいます。各社の投信は1本1本、運用の考え方、スタイル、投資対象が驚くほど違います。古いファンドほど個性的だと思っています。ぜひ自分でもお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その② 2024年1月、新NISA開始へ iDeCoは?

令和5年税制大綱のなかで「資産所得倍増計画プラン」関連要望として「NISAの抜本的拡充・恒久化」がありました。今後、大綱をもとに法案が作成され、2月に改正法案が国会で審議されて3月に成立、4月施行という運びが通常です。現在は安定政権ですから、このまま通る可能性が高いと言えるでしょう。

この内容は金融機関の端くれの現場で、私が期待していた内容を、遥かに上回るものでした。下は金融庁HPから筆者ヘンデルがブログ上に要点を写したものです。正確、詳細は金融庁HPをご覧ください。

    つみたて投資枠    成長投資枠
年間投資枠     120万円     240万円
非課税保有期間     無期限化     同左
非課税保有限度額つみたて+成長で1800万円
簿価残高方式で管理
(枠の再利用可能)
     同左

 ※成長枠は1200万円(内数)
口座開設期間     恒久化     同左
投資対象商品積立・分散投資に適した一定の
投資信託(現行のつみたてNISA
と同様)
上場株式・投資信託等(①整理・監理銘柄、②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外)
対象年齢     18歳以上      同左
現行制度との関係2023年末までに現行の一般NISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用 
※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可
      
      同左

私がまず何に驚いたかというと、最大で元本1800万円が非課税になることです。なんという大盤振る舞いでしょうか。先日、年金2000万円問題が話題になったところです。ほぼそれに等しい金額の運用は非課税だ、ってことです。

しかしそもそも、です。2022年8月までの1年間にdodaサービスに登録した約56万人のビジネスパーソンの平均年収は20代が342万円、30代が435万円、40代が495万円、50代以上が596万円、だそうです。ということは、ほとんどの日本人にとって、毎年「つみたて+成長」で年360万円の投資枠をフルに使うのは非常に困難だということになると思われます。(すでに貯蓄があって、そこから回す人は別です)

「いやいや、毎年360万円ずつ5年間投資に回す、なんてのは無理なのはわかってる。20年がかりで埋めるんだ」という考えもあるでしょう。それはアリです。生涯非課税ですから。しかし更にいうと、配偶者と合わせたら世帯で3600万円!の元本が非課税になるというわけです。多くの日本人には手が届かない・・んじゃないでしょうか。。  この制度を使う使わない、どう使う、によって、ムチャクチャ格差を助長することになる気がします。

2つめ、驚いたのは1800万円の枠の再利用が可能ってことです。ただし、年間投資上限360万円はあるので、極端な例では、毎年360万円ずつ投資して、5年で1800万円投資しました、5年目に全部売りました、とすると、6年目には360万円の枠が復活する、ってわけです。

これは重要です。現行NISAでは損切がしづらかったです。損益通算できないし、ロールオーバーするのでしょうがない、という状態です。来年からの新NISAは、後日要るお金で、いずれ売るお金でもOKってことです。益なら非課税、損ならしょうがないけど、売っちゃっても来年またはそれ以降に新たに非課税で投資できます。総枠で1200万円または1800万円になるまでは。

つみたて投資は毎月10万円が上限です。といっても毎月10万円投資できる人は少ないかもしれません。あとで述べますがiDeCoとの割り振りもありますし。つみたて投資の銘柄は、何も考えず「S&P500連動投信」か「全世界投資」が良いと思います。

実はひと捻りした銘柄をご紹介したいのですが、それは次回ということでご了解ください。(もう長くなりましたので) 

ちなみに、私の長男にはS&P500連動積立、長女には世界バランス型積立(株+債券)、私自身は確定拠出年金で、あるアクティブ投信で積立もどきをしています。

私としては成長投資枠でもインデックス投資が主となって良いと思います。個別株投資はなかなか勝てるものではありません。

ウォーレン・バフェットという名前を聞いたことがあると思います。去年のフォーブスでは世界第5位の資産家です。1180億ドル(15兆5000億円)です。彼は株式で財産を作りました。その彼が妻に対し「自分の死後は資産の90%をS&P500に連動するインデックスファンドに投資し、残りの10%を債券に投資するよう推奨」しているのは有名な話です。ただし、資産の85%は寄付すると発表しています。

ただ、リタイア層のかた(私もですけど)で配当ニーズがある場合、現在の日本には配当利回りが高い銘柄が増えましたので、配当を期待して投資するという考え方はあると思います。(配当まで非課税になるとは確認できていません。たぶん大丈夫だと思います)

前回のブログその①に記したように、今年は10年に1度のチャンスの年だと思っておりまして、なるべく早く、今年のNISA枠は埋めていきたいと思っています。今年のNISA枠は来年以降も有効ですから。つみたてNISAは20年有効です。

ところで老後に備えての投資としてはもう一つ、確定拠出年金制度があります。特に自営業者のiDeCoは強力です。自営業者は毎月68000円が積立可能、12カ月で年額816000円を積み立てて、これが所得控除となり、運用中は値上がり非課税、受取は公的年金等控除、退職所得控除の対象になるのです。

配偶者がいればiDeCoも更に倍!ですし、青色申告の人でしたら配偶者を専従にして給与控除も可能です。 ・・・とはいえ、この制度も、私の娘のような零細自営業者には、60歳まで下せない(年金ですから)こともあってとてもフルには投資できません。 

新NISAと同時に、企業型確定拠出年金またはiDeCoの、どちらを優先するかは人それぞれとしか言いようがありません。

NISAはとにかく最後まで売却したとき非課税です。しかし損で売却すると、損益通算できません。

一方、確定拠出年金は所得控除です。値上がりしなくっても所得税が減る分だけ、実質プラスになると言えます。受取の時は、課税とはいえ優遇税制です。退職金控除は積んだ年数に年あたり40万を控除して、それを超えた分は1/2にして所得税です。年金受取りの場合は公的年金等控除が適用されます。 ※概略を記しています。詳しくは国税庁HPでご確認ください。

最後に余談です。筆者ヘンデルの感覚です。コロナ対策も、老後の年金も、国土の防衛費も、自分でやってね、自分で守ってね、という時代になったという気がしています。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その① 今年は10年に一度、いや40年に一度の買い場かも・・除く日本

昨年末まで、私は金融機関の端くれに勤務しておりました。でも、5年前に60歳で退職金をもらうまで、ほとんど自分では株式投資はしてきませんでした。子供にお金がかかって投資に回せるお金がなかったことがあり、また、お客様と一緒のものに投資をしたら、お客様へのアドバイス・判断が微妙に狂うのではないか、などと考えて、控えてきたのです。自分が買いたいもの、または買ったものをお客様にも買ってもらいたくなるのが当然ですが、だから判断にバイアスがかかるだろうと思ったからです。

60歳になって退職金が入り、「65歳まで再雇用」の立場となって、日々の営業とはかなり切り離されたこともあり、社員投資(旧勤務先ではこう呼びます)を開始しました。

65歳になりまして、ハローワークに通う身となりました。そこで、カッコよく言えば「40年以上培ってきた経験に基づく相場の話」、悪く言えば「経験に縛られて、いい加減にしとけ的ヨタ話」を、今後、本ブログで綴って参りたく思います。

表題にしましたように、現在ひょっとしたら40年ぶりの買い場かもしれない、と思っています。もちろん何時(いつ)が、なんてシャープなことは神様じゃないとわかりません。なので私は去年秋から毎月、投信積立もどきを開始しました。

「投信積立もどき」というのは、私の確定拠出年金は去年春に全て銀行定期にスイッチングしておりまして、10月から毎月に分けて、自分で、ある投信に再びスイッチングしているのです。自分で投信積立を行っているのです。

インフレに対する米国金融引き締めによって、アメリカや世界の株式市場が去年年初から下落を始め、もっと下がると見込んで、春には銀行定期に逃げ込んでいたのです。秋頃からはインフレがピークアウトの兆しが出てきたかなと思い、また株価は結構十分に下がったよね、とも思いまして時間分散(毎月)で投信買付けを再開したのでした。

選択した投信の銘柄については、後日紹介します。

さて10年に一度か40年に一度の買い場、の理由です。何十年も金融機関の端くれで生きてきた私には「10年に一度危機がくる」という経験則ですけど、これを肌で知っていました。

1973年オイルショック(第4次中東戦争)

1979年第2次オイルショック(イラン革命)

1987年ブラックマンデー

1997年アジア通貨危機

1998年ロシアデフォルト

2000年ITバブル崩壊

2008年リーマンショック

2020年コロナショック

2022年コロナショックに起因するインフレ、それに対応する金融引き締め

だいたい、10年代に1回、危機が巡りくる勘定です。1990年日本のバブル崩壊は専ら日本だけの出来事と思われ、上記リストには入れていません。ご注目いただきたいのは、日本を除く世界の(特にアメリカの)株式市場は毎回、危機を乗り越えてきたという事実です。

長期で言えば、日経平均は32年前の高値38915円をいまだに更新できていないどころか2023年1月現在26000円程度なのに対し、SP500 (アメリカの代表的株価指数)は当時350ポイント程度だったものが、今は3900ポイントどころと10倍を超えているのです。

30年という期間は結構重要で、30台で資産形成を始めようという人たちが60台で引退を迎える時間になるということです。値下がりしている日本と10倍になったアメリカ。リタイア後の彼我の格差はベラボーです。

でも、実は日本でも、バブルのピークから毎月月末に一定額を買い付けてきたとしたら、ざっと2倍にはなっているのです。けれど、所詮2倍です。・・・銀行に置キッパよりは、マシだったかしら。

業界の人でなくても記憶にあるかと思います。リーマンショックは「100年に一度の危機」と言われました。米国は100年に一度の危機を乗り越えてきたわけです。これは逆に言うと当時、100年に一度の買い場だった、と言えることになります。

今、インフレ退治のための金利上昇で株式は下がっています。米国のインフレは40年ぶりだそうです。ということは、今、40年ぶりの買い場が来ているのかもしれません。

10年に一度の巡りくる危機というパターンで言うなら、去年から今年にかけて買っておけば、この先の9年の間、株式市場はバラ色だ、ということになります。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。