経験に基づく投資の話 その⑪ JPM好決算、NVOの急伸止まらず、AT1債について思うこと

JPモルガンが14日発表した2023年1〜3月期決算で、純利益は前年同期比52%増!の126億ドル(約1兆6700億円)でした。消費者部門などで金利収入が大幅に増えました。リセッションを考慮して貸倒引当金を計上しましたが、収入増で相殺ししました。

EPSは予想$3.37に対し$4.10、売上高成長率は前年同期比+24.8%でした。クレジットカードの支払遅延は微増、ROEは18%(前年同期は13%)でした。

ほぼ文句なしの決算で、14日株価は終値ベースで+7.55%と急伸しました。この上昇幅はJPMにとってハンパじゃありません。シルバーゲートに始まるローカル金融危機(筆者ヘンデルの命名)はJPMにとって漁夫の利だったようです。3月26日の本ブログに記した表現は“焼け太り”でした。

NVOの続伸の理由にはInvestor’s Business Dailyが4月12日に報じた「Aspect Biosystemsを$75Mで提携を契約、将来$650M支払う」とのことで、これがまた話題になったようです。

あと、筆者ヘンデルがウキウキしているのは、VIST(ビスタ・オイル・ガス)です。NVOを1回目に仕込んだ2月8日ブログで、同時にXLE(資源株ETF)を仕込んだことを報告しました。あまり根拠がなくてブログに取り上げずに申し訳なかったのですが、同時期にVISTも仕込みました。メキシコとアルゼンチンに鉱区を持ちます。資源株を買いたいと思っていて、チャートを見るとcup with handle(海外では最重要な上昇パターン)を形成していたので買い付けました。やはり資源は怪しい(良い方に)です。これから景気が悪くなるってのにおかしいっちゃおかしいのですけれど。サウジ減産、てニュースはありましたけれど。

三菱UFJモルガンスタンレー証券がAT1債を950億円販売していることがわかりました。報道だけでは、いつの販売で、その条件(金利、最低額面など)も不明です。少なくとも2022年6月に発行した16億5000万ドルが9.75%だったことがわかっています。(これを950億円販売したのかはわかりません) 購入したのは個人が1300口座、法人が250口座だったそうです。

9%なんて金利は、リスクの高さとの見合いであることをわかっている、はずなのですが。野村総研の元日銀審議委員の木内さんのレポートによれば、欧米のプライベートバンカーは個別金融商品を推奨することはない、のだそうです。日本のほとんどのプライベートバンカーは商品の販売者で、販売した手数料の一部を得ています。

1300人の不幸な人が出る理由は ①金融リテラシーがないか、足りない(顧客も、ひょっとしたら販売側も) ②手数料中心のビジネスモデルであること  だと思います。筆者自身が過去、何度も何度も、ずっと似たりよったりの商品を販売してきました。申し訳ないことに。それでも販売する際は、リスクについて、わかるように説明をした自信はありますけれど。 もうここ10年か15年以上、この手の商品は顧客に紹介していません。 

投信の運用会社を何社かネットで見ましたが、さすがにクレディを集中的に買っている投信はないようです。それにしても、こんな商品を個人に販売するのは如何なものでしょうか。営業企画なのか商品企画なのか知りませんが、三菱UFJモルガンスタンレー証券さんの姿勢を問いたいところです。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その⑩ NVO急伸! 今からでも買い乗せする理由

2月8日に本ブログで「新規買いしました」と報告したNVO(ノボ・ノルディクス)が130ドル台から、先週末159.14ドルに急伸しています。

本ブログの読者からも「買ってよかった」とコメントいただいています。

昨日、エラいことに気づきました。我ながらなんてマヌケだったんだろう、と反省するところではあるのですが、もはや“あとのカーニバル”なのですけれど、今からでも! 追加で買い乗せします。

筆者が一番信頼している投資信託「キャピタル世界株式ファンド」(実はこれはアメリカのキャピタルグループが運用するNew Perspective Fundに100%、これに投資するのです)の組入上位10銘柄の、第2位に登場していたのです。この米国New Perspective Fundはケタ違いに大きな投信です。現在でも15兆円(132円換算)を超える残高です。国内の投信とは2ケタ、違います。

NVOは、その組入れ第2位で組入比率2.38%(Bloomberg)ですから、New Perspective Fundはザックリ3500億円を保有している勘定になります。キャピタルグループとしては、兆の単位で持っている計算です。

確か去年の暮れには「ま~だTSLAが組入れ1番だよ」「なんてしつこいんだ(誉め言葉)」と思っておりました。この投信はテスラを長年組入れて、テスラの株価がピークのころには評価額で6,000億円以上も保有していました。キャピタルグループはマスクに続いて第2位株主でした。

世界に冠たるMutual Fund(ミューチュアルファンド:会社型投信)は非常にしつこいのが多いことを知っています。このキャピタル、他にはアライアンス、ベイリーギフォード、ブラックロックなどです。中南米のアマゾンと呼ばれるメルカドリブレや、コロナワクチンのモデルナなど、彼らはベンチャー時代からずーっと投資し続けているのです。

New Perspective Fundの売買回転率は25%だそうです。一回買ったら平均で4年間持つ、ということです。売り買いを重ねる投信とは一線を画します。質の高いリサーチとそれに対する絶大な信頼がもたらす数字です。

ということで、キャピタルが買った以上、向こう何年もNVOを持つことが予想されます。それに相乗りしようと思います。

筆者がそこまでキャピタルを信頼する理由です。 「大きい」ということは「世界中の投資家がみんなで預けて、運用が良いから出ていかない」ということに他ならないと考えるからです。New Perspective Fundは1973年3月13日以来の運用です。もう運用期間は50年を超えています。その間、MSCI ACワールドインデックスはもちろん、S&P500指数も上回る運用を続けているのです。もちろん信託報酬控除後です。

実は筆者の確定拠出年金は当初、フィデリティ世界株式にお世話になり、キャピタルが日本に上陸してからはキャピタルで、現在もお世話になっています。以前にこのブログに書きましたが、筆者の確定拠出年金は去年春、いったんすべてを定期預金にしまして、去年10月から6か月計画で定期定額によりまして、キャピタル世界株式ファンドを買い付けてきました。今月、フルインベストメント状態になりました。

キャピタルの保有上位銘柄があまりにずっと変わらないため、去年暮れから、マヌケなことに月次報告書を見ていませんでした。昨日、気づいたらNVOが第2位です。これだけ急に組入上位に来たわけですから、「前から持ってて、値上がりしたから上位に来ました」のではない、と思われます。 ←筆者の見解です。

ということで、ファンダメンタルズ分析もテクニカル分析もない、盲目的な理由で買い乗せしようと思います。(2月に買ったときも、自分にNVOの薬が処方されて、調べたらイーロンも使ってた、というだけの理由でした)

ところで週末、原油が跳ねているようです。NVOと一緒に仕込んだ資源株、いよいよ報われるかな?

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その⑨ 欧米の銀行の不安について まとめメモと投資方針

今回の欧米銀行のバタバタについて、筆者が満足・納得できる、まとめた文章、ブログがいま一つ見当たらず、自分で作成することにしました。従いまして、本日時点の筆者用メモです。なので今回は難解です。筆者の事実誤認の恐れがあり、また今後想定外が出現する可能性もあります。

シルバーゲート・キャピタル(SI) 3月8日、清算すると声明。クリプト(仮想通貨)の作業代行をしていた。仮想通貨取引所FTXの破綻と同時に預金の引出しが起きた。資金流出に対応する資産売却で損失が膨らみ、自己資本比率が規制の水準を満たさない可能性が出た。

シリコンバレーバンク(SVB) 3月10日取付騒ぎが起きた。大手行は相手にしないようなスタートアップ企業で口座を作る。ベンチャーキャピタル(VC)から投資されたら、それを目当てに融資する。預金は長期国債で運用していたが、金利上昇で18億ドルを損失計上し、自己資本強化のためゴールドマンサックス(GS)で増資すると発表した。それが信用不安を招き、取付騒ぎとなった。 

シグネチャーバンク(SBNY) クリプトの作業代行。3月12日事業停止命令。FTX破綻、SI、SVB破綻をみて同行にも信用不安が走った。FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:連邦預金保険公社)管理下におかれる。マンハッタン商業用不動産の融資の10%シェアを持つ。

●IPOウインドウが閉じている現在、プライベートエイクティ(PE)やベンチャーキャピタル(VC)は商売あがったりになっています。

●ダイレクト・リスティング(上場にあたり引受証券会社をおかず、直接、既存株主が市場で売却する仕組み。スラック、スポティファイなど)、SPAC(未公開企業と合併するための事業実体を持たない上場会社。Special Purpose Acquisition Company)などが、もうボロボロです。金利上昇だから。シリコンバレーの時代は終わりました。

こんな環境ではSVBは生きていけません。取引先であるアントンプレナーはIPOができない、金利上昇でダイレクトリスティングもSPACも止まっている・・それを肌で知っているのがスタートアップのCEOたち。だから彼らが真っ先に預金の引出しに走ったわけですね。

ファースト・リパブリック・バンク(FRC) 3月15日S&Pは格付けをBB+ネガティブ(ジャンク級)に引き下げた。16日にはJPM(JPモルガン)、C(シティ)などが300億ドル(4兆円)預金した。そりゃそうで、SVBやFRCから逃げだしたお金がJPM、BAC(バンカメ)、Cに駆け込んでいる。だからJPMなどにはお金が唸っている。コンソーシアムを組んで還流させる。 ザッカーバークの住宅ローンを融資したのはFRCとも。

クレディ・スイス(CS) 旧スイス三大銀行で1番だった。他の2行、UBS(Union Bank of Switzerland )とスイス銀行コーポレーション(SBC)が合併して現UBSとなり、こちらが最大手になった。今回はスイス中央銀行が音頭を取ってCSはUBSと合併へ。預金1000億ドルが流出したといわれる。アリババの主幹事にもなったCSだが中国ブームが終わり、IPOも崩壊。アルケゴスでも44億スイスフラン(5,200億円)の損失を発表している。

●アメリカの地銀で起きている不安とクレディ・スイスは関係がありません。アメリカでは金利上昇を背景にPE,IPO、SPAC,ダイレクトリスティングが崩壊して、次々と銀行破綻を起こしました。まだまだ破綻が出てくる可能性があります。(ゴキの1匹、とは言わないけれど)

●CSの買収話に待った!をしたのがAT1債のホルダーです。AT1債とはAdditional Tier1債券の略称です。偶発転換社債(contingent convertible bonds:CoCo債)とも呼ばれます。リーマン後に、普通株式を出せないような銀行が発行しました。株価が安いと、増資するともっと値下がりします。それは既存株主が許しません。でも永久債って返さなくていいんだから株と同じじゃね?ということで、これ、「みなし株式」でいんじゃね? となり、だけど潰れたときは株と同じで無価値になっちゃうよ、てことです。無価値にならないと、ティア1とは見做されません。ハイリスクだから、「10年物米国債の利回りは現在約3.58%だが、クレディ・スイスのAT1債の表面利率は9.75%」(3/24 BUSINSS INSIDER)

CSの株主はわずかなりともUBSの株をもらえるのに、AT1債はゼロになる、だから文句が出ています。 ・・・高い金利をもらってきたくせに。

 

筆者は、リーマンショック後、アメリカの銀行はCBOなどの不良債権を整理したと思っています。しかし当時から、UBSやCSなどを始めとした欧州の銀行は体力がなさすぎて、整理することができていないと聞いて(思って)いました。筆者の知るところでは一部日本の未上場金融機関も整理しきれなかったのではないか、と認識しています。

クレディスイスでは、バーゼル3(リーマンショック後の、銀行の3回目の国際的自己資本規制比率)を満たすためにAT1債を発行し、ブルームバーグ報道では香港やシンガポールの富裕層が積極的に購入したそうです。

これがゼロになるわけで、保有者探しはもちろんのこと、そもそも発行しているような危ない金融機関はどこか? そりゃ信用問題だ、ということが話題になっているのです。

●ドイチェ銀行、コメルツ銀行、ソシエテ・ジェネラル、他、の健全性が疑われ、株価が下りました。でも、そもそもAT1債の値段がどんなに下がっても、発行元の銀行経営には関係はありません。何故なら、もうお金はティア1として当該銀行に組み入れられているのですから。

ということで筆者の投資方針は、年末にかけてのドル安円高を見込み、個別ハイテクと中国資本関連は避け、リセッションまたはインフレにも強い景気ディフェンシブ株(薬、防衛、資源、食品)ということで変わりありません。

今回の銀行不安で焼け太りになったJPMとかBAC、Cは買い付けを検討します。下がったところだし。筆者の銘柄選びの性癖「やっぱNo.1企業でしょ!」からすると、最大手のJPMが候補です。

今回はサンフランシスコとマンハッタンのお金持ちローカルな問題だけれど、利上げ局面終了が確信できると思うので、もうしばらく全体に上がると思います。けれど、5月3日FOMCでもう一回利上げして、パウエルがインフレつぶしの意志の強さを見せて、年内くらい金利は高止まり、を期待しています。もうすぐ利下げだ、という期待を抱かせつつ。もっともFedWatch Toolでは5月据え置き予想が88.2%!です。

一方、Fedのバランスシートは急増(世間のお金の量が増加)しています。金融不安だから仕方ないんですけど。でも、ここで利下げだとかなったら、インフレに逆戻りするのではないかと懸念しています。 だから5月はもう一回、利上げをして欲しいと思っているのです。

ということは Sell in May かもしれませんね。 ディフェンシブは持ってていいと思いますけど。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

 

 

経験に基づく投資の話 その⑧ 強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑と伴に育ち・・・ 筆者ヘンデルの投資観と相場観

Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria. 

強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑と伴に育ち、楽観の中で成熟し、陶酔とともに消えてゆく  ジョン・テンプルトン

カッコいいですね。それに、ものすごく当たってます。筆者の経験では。

懐疑の中で育っている株を探したいです。筆者には悲観の中で生まれたばかりの株を探すほどの能力はありません。でも懐疑と伴に育っている株を見つけることはできます。そんなはずはないのに、上がってる株に気づくことです。先日の資源株ETF買付の時の考え方です。石油の値段は下がっている、天然ガスなんで暴落しているにもかかわらず、さらに時代は脱石油だって言ってるはずなのに、何故か石油株が高いんです。

損失は「あれ?なんで?」と思った中に生まれ、タラ・レバと伴に成長し、思い込みが損切りを躊躇させ、オイショ(追証)と伴に確定する。   by ヘンデル

テンプルトン卿のパクリです。

一方で、筆者は長期投資を旨としています。長年の経験で短期売買はどっかで蹴躓くと思っているからです。TUBEに出てくる、デイトレで何億を作った人って何万人に一人、宝くじに当たる確率だと思っています。

長期投資にも上記パクリのような、「あれ?なんで?」はあります。その時「タラ・レバ」を期待するのではなく、「その会社、なんで買ったんだっけ?」を振り返ることが必要です。その会社の成長ストーリーを見直すのです。

筆者ヘンデルはJMDCという日本の会社の株主です。たしか4000円台で買って、8000円台で買い乗せて、9000円台まで行ったけれど、現在また4000円台です。でも持ち続けています。同社の成長ストーリーに、内部環境の変化はなく、外部環境(例えばインフレやウクライナ)も影響を及ぼさないからです。

GAFAM+NT(FATMAN-Gとも言います)を全部保有していましたが、去年春、TSLAを除いて全て売却しました。金利が上がるからです。外部環境が変わる、変わったのです。 それも、「楽観の中で成熟し、陶酔とともに消えてゆく」 気持ちが悪くなるほどの陶酔(GAFAM+NTの値上がり)を、思い切り味わった後でもありました。売却の背景には、2000年ITバブル崩壊の記憶と経験がありました。 ・・TSLAは、Investmentというより個人的趣味で残しました。

確定拠出年金もいったん全部解約し、定期を買付けました。その後去年10月から毎月、半年がかり計画(ドルコスト平均法)で再びアクティブ投信を買い付けています。

個別株は、このブログに記してきましたが、米国のバイオ、資源、農業、新興国(除く中国)、防衛、というインフレやリセッションとは距離をおく銘柄群を保有、物色しています。

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経験に基づく投資の話 その⑦ 穀物メジャー新規買いを検討中。でも落ちてくるナイフはつかんじゃダメ。

現在、穀物メジャーの一角、ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)買付を検討しています。買い時期を待っている、というべきですね。

過去の経験で、「落ちてくるナイフを掴んじゃいかん」を知っています。落ちて、チャリン、と音がしてから拾いに行く、デッドキャットバウンズ(死んだ猫でも2階から落とせばはずむ)には注意して。

止まりめは70ドル前後かな。なにせウクライナはまだ続くとみていますし、世界的に農地が減っています。なので筆者は以前からDE(ディーア:大型農業機械の最大手、建設機械も)を保有しています。米国小麦が去年2月に急騰して、今はずっと下がって元の水準以下まで、下がってしまいました。

ここらで穀物商社、どうかな、と思っています。穀物メジャー(Grain Major)とは、小麦や大豆、トウモロコシなどの穀物の買付・集荷・輸送・保管までを手がける巨大専門商社です。上位5社で世界の穀物取引の7割~8割を占めると言われています。「サイロ」や「エレベーター」と呼ばれる貯蔵施設、および貨車や貨物船まで保有しています。

需要家が、個別の農家から直接穀物を買うわけにはいきません。穀物商社の価値はここにあります。

そもそも穀物相場は、生産地の天候に大きく左右されます。生産者と直接取引をしているので作柄情報が入るうえ、人工衛星などで世界中の天候も知っていますから、価格変動の大きい穀物取引では有利に働きます。。

仕入れた穀物は先物取引でヘッジします。農家から現物の穀物を買うと同時に、先物を売っておけば損はありません。農家には今後の収穫の3年分とかの代金をまとめて渡しておき、農家はその大きなお金で、コンバインなどを購入することができます。でも、3年間は穀物がどんなに値上がりしても、契約時の値段で商社に渡さねばなりません。

穀物メジャーは昔はビッグ4、または五大穀物商社と言われました。アメリカのカーギル(未上場)、コンチネンタルグレイン、フランスのルイ・ドレフュス(未上場)、オランダのブンゲ、がビッグ4で、そのまた下位にアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)やコナグラが存在しました。その後、現在はADMが買収などを通じて第2位の売上げになっています。

世界最大手カーギルが未上場です。いかにも怪しそうです。1979年のソ連によるアフガン侵攻のおりに、米国はソ連に穀物を禁輸ししました。しかし、欧州のカーギルはせっせとブラジルやアルゼンチンの小麦をソ連に運んでいた、と聞いています。

今のロシアが石油・ガスを西側にボイコットされても、中国・インドが喜んで買っている図式です。禁輸なんてのは抜け道があるんだよ、ということかと思います。

さて、ADMですが、配当貴族です。配当貴族(Dividend Aristocrats)は25年以上、増配を続ける企業群です。49年連続増配です。PERは9.6倍です。チャリン、と音がしたら、買い出動します。

 

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経験に基づく投資の話 その⑥ リチウム生産会社ALBを新規買いしました

筆者ヘンデルはTSLA(テスラ)を何年も前から保有しています。以前にも記しましたが、イーロンのファンです。

イーロンが金詰りになって(多分)、YOUTUBEの画面を大麻葉巻の煙で真っ白にしたことも、「420ドルでMBOする」と言ってSECから怒られたことも、リアルタイムで知っています。フリーモント工場に巨大テントを増設して、その下でテスラ3の量産を行ったことも知っています。「予約が50万台ある!」と豪語しながら、初月の出荷が50台だったと聞いた時には腰が抜けそうでした。

そんなこんなから、テスラの株価を背景にイーロンが世界一の資産家になり、その後株価が急落している現在も、テスラ株を保有しています。TSLAは10年持つ、2030年まで持つ、つもりでいます。

筆者は過去、クルマが重要な趣味だったころがあります。NISMOに乗ったり、オープンに乗ったり、結構なお金と相当な時間をクルマに費やしました。しかし小岩に5年、沖縄に6年も単身赴任し、月に1度、帰宅するだけではバッテリーがあがってしまいます。その経験から、結局、都内で住むにはクルマはいらないよね、と悟りました。山に走りに行くわけでもなくなりましたし、クルマはトランスポーターでしかない、と割り切るようになったのです。時あたかもカーシェアが始まったころでもありました。

今ではガソリン車に興味ありません。(でもスイスポはあきらめきれない・・) EVならテスラ、と思っています。しかし、筆者はクルマを保有することに興味がなくなっているのです。・・お金もないんですけど。

世界はEVに向かっているのはご存じの通りです。トヨタが何年も前に〇〇年に固体電池だ!と表明はしましたが、未だにできそうにありません。当分、EVバッテリーにはリチウムが必要です。

リチウム採掘会社の世界の大手はSQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラデ・チリ)、ALB(アルベマール)、Tianqi(ティエンチー)、Ganfeng(ガンフォン)などです。しかし筆者は中国企業を投資対象とは、今は考えておりません。したがってTienqi、Ganfengは外れます。さらに、SQMの筆頭株主はTianqiで、その23.77%を保有しています。今の米中関係を考えると、いつ何時「中国企業はどうの」と言われる可能性があると思われます。従いまして、銘柄はALBの一択となりました。

ALBはずいぶん下がっています。決算も悪かったですし、今年、リセッションになる見通しだからだと思います。リチウム会社は前から狙っていたこともあり、下がったところはチャンス、と思って買い付けました。

 

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経験に基づく投資の話 その⑤ 痩身薬のノボと資源株ETFを新規買いしました

実は筆者、BMIが33です。要は肥満体。でもって糖尿病です。先日クリニックの事情で担当医が変わりました。新しい先生の処方では、1つだけ変更がありました。

オゼンピック(一般名:セマグルチド)を処方されました。その時の先生のひと言、「痩せる効果もある」が耳に残りました。

この薬は、新しいか、高いか、珍しいものらしく、いつもの薬局でも、2件目の薬局でも置いてなくて、マツキヨの2階の薬局で入手したのでした。なんとなく気になって、昨日になってググりました。

ノボノルディスク・ファーマ(デンマーク)が作って、2018年3月23日、厚生労働省が2型糖尿病の治療薬として承認しました。HbA1c改善効果が認められたことに加え、プラセボと比較して優れた体重減少効果が認められたのだそうです。

体重減少=痩せる薬です。日本では糖尿病治療薬として2020年6月上市されましたが、世界中で品薄となり、2021年12月には欧州の工場からの出荷が停止されました。

そして肥満症薬として同じセマグルチドのウゴービ皮下注が今年の1月27日、承認されたのでした。「肥満症 ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。(以下略)」

さらに筆者をあわてさせたのが、去年10月の報道です。「テスラCEOのイーロン・マスク氏が体型維持に関する質問を受け、断食とともに、米食品医薬品局 (FDA) が昨年承認した体重管理薬を服用していると明かした」とのことでした。 10月2日のツイートで Fasting    And  Wegovy(断食とウェゴビー)と明かしています。

ある記事によれば

ノボノルディスク社製のWegovy(セマグルチド2.4mg)は昨年6月、「過体重または肥満の成人における食事および運動療法に対する補助療法としての治療薬」としてFDAに承認された。同社によると、薬は「空腹感を軽減し、満腹感を高めることにより、食事の量を減らしてカロリー摂取量を抑え、体重減少を促進する」という。同薬は肥満度指数で減量を必要とする人や、2型糖尿病や高コレステロールで太り過ぎとされる患者に処方されるが、適用外使用で購入している人々も多く、品薄になっているという。

ということでした。そのセマグルチドが筆者に処方されたのです。実は筆者は以前からTSLAの株を保有しており(大きく値下がりした今も)、イーロンのファンなのでもありました。

そんなこんなでNVO(ノボノルディスクファーマADR)を買おうと決めました。ずっと上がっているけれど、たまたまこの2週間ほどは下がっています。

筆者はバイオ株としてはGILD(ギリアド・サイエンシス)、IBB(バイオETF)を保有しています。もうちょっとバイオ、買っていいかなと思っていたところでもあり、即日、買い付けを決断しました。

筆者はバイオ株との付き合いも古く、2000年にセレーラ・ジェノミクスが「ヒトゲノムを全部読んだ!」と発表した時の熱狂も、よく覚えています。今にして思えば、ヒトゲノムを全部読んだからといって、創薬・製薬がすぐできるわけではなく、遺伝子治療なんて、ずっと先の話だったわけです。

しかし、あれから23年たちました。2013年にはCRISPR/CAS9(クリスパー・キャスナイン:遺伝子を途中でチョン切って修復させる技術)が発表され、これは2020年にはノーベル賞を受賞しました。2019年にはCar-T療法が日本でも承認されたり、いよいよ、「バイオ」がマネタイズできるようになったかな、と感じていたところです。

コロナワクチンがmRNAを使って、たった半年で完成したように、遺伝子医療は「儲かる」時代が幕を開けたように思います。

2030年にはバイオ製剤が身近になり、リモートでガンも治るのではないでしょうか。(←根拠なし)  申し遅れましたが、筆者ヘンデルは株は10年、20年持つものだ、を信条としています。そうしないと、一生テンバガー(10倍になる株)とは出会えません。

でもバイオなんて、どの会社が生き残るかわかりません。専門の方でも無理でしょう。だからIBB(バイオETF)を買って持っているところです。

そんなわけで、バイオの株式比率を上げたいと思っているのです。

昨日はもう一銘柄買いました。予算の半分程度の金額で、XLE(資源株ETF)です。ロシアは続きそうだし、もう冬も終わるのに、妙にXOM(エクソン)とかCVX(シェブロン)とか高留まりしていて、なんでかな~と思っているのです。現在の筆者のポートには資源株がゼロなもので、GAFAM以外で何かないかな、と思っていて、今日は資源ETFを買い付けました。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その④「NISAは何買ったらいいかねぇ?」

ある方から質問がありました。「NISAは何を買ったらいいかねぇ」「手堅くマイクロソフトかアップルかねぇ?」 ・・・「ちょっと違うかも」です。

マイクロソフト株式はその昔のWindows98のころから、私自身はお金がなくて買えなかったけれど、お客様には「98」が出たところから強力オススメしました。あれ以来、もう四半世紀になります。

その間、MSFT(マイクロソフト)はずっと成長株であり続け、昨年9月末には現金と同等物で1600億ドル(130円で約14兆円!)を持つ、ご存じスーパーBIGカンパニーになりました。このお金は即、買収に、配当に、何にでも使えます。

GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)+NT(エヌビディア、テスラ)並べなおして「FATMAN-G」は去年の今頃、毎晩、ゲップを通り越して吐き気がするほど上昇しました。

筆者はこの吐き気がするほどの上昇には覚えがありました。1998年から2000年のITバブルです。筆者は当時勤務しておりました会社のなかで、個人営業としては1番、ITバブルに踊った数字を残したそうです。私ごときがそんなはずはないだろ、という逆の自信がありまして、多分それは瞬間風速のことだと思います。

振り返ってみますと、Y2K問題(古いPCが西暦2000年を00年と誤認識、誤作動してしまう恐れがあった)は杞憂に終わり、という安心感とともにITバブルはピークとなりました。

Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism and die on euphoria. 強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑と伴に育ち、楽観の中で成熟し、陶酔とともに消えてゆく ジョン・テンプルトン

実はY2Kが心配だから、1999年、世界中で一斉にパソコンを買い替えて済んでいたのでした。インターネットの普及期でもありました。それ故の、強烈な需要の先喰いが起きたのです。

結果、Y2Kを通り過ぎたら、もう誰もPCを買わなくなったのです。PCは進化するからまだマシで、山のように作った光ファイバーの在庫は腐らないのです。

この図式って、今回のコロナと同じです。リモートが当たり前の時代になりましたから、自宅勤務用のPC需要が急遽発生したわけです。さらには「自宅用(エンドユーザー)用セキュリティ」「持って行かなくてもいい電子契約書」「リモート診療」など、これらソフトをネットで配信するSaaS(Software as a Service)も大変な相場になりました。 23年前でいえば、ドットコム(.com)が社名につけばなんでも急騰したのと似ています。

ITバブル当時、筆者のスター銘柄はCSCO(シスコシシテムズ)でした。なにせ毎年、2分割したのです。ルーターの世界No.1企業でした。現在もです。当時、ウィンテルコ(ウインドウズ+インテル+シスコ)なんて呼ばれました。今でいえば上記GAFAMと同じです。

History doesn’t repeat itself, but it rhymes.  歴史は繰り返さないが、韻を踏む マーク・トウェイン

インターネットで必須のルーターは10年後、20年後も必要だ、と当時思っておりまして、実際その通りになっています。しかし現在のCSCOに当時の成長力、夢は最早ないのです。

グーグル検索やグーグルマップ、Gmail、これらは10年後も必要で、存在するでしょう。でも、実は10年後には当たり前すぎて、成長力はなくなっているかもしれません。すでにチャットGPT、LINEといった強力なライバルが存在しています。

さて、やっと本日のお題です。本日、筆者はFM(iShares MSCI Frontier and Select EM ETF:除く中国の新興国、組み入れ1番はベトナム)をNISAで、それとGD(ゼネラル・ダイナミクス)を先ほど現地で買い付けました。FMについては毎月定額投資で買い増しする登録もしました。

FMはチャートで、緩やかではありますが三尊底(筆者経験では底入れ確率9割!)を脱したタイミングです。今後米国のリセッションは避けられないでしょうから、来年には金利は下がるでしょう。米国金利低下は新興国相場に追い風です。(もうGAFAMではない) 

米国金利低下は来年からでしょうし、株は先を見ると言ってもギクシャクがあるのが新興国です。なのでいきなりフルインベストは避けて、チャートのタイミングで今月は予定金額(NISA)の半分買って、もう半分は定額毎月買付で、という作戦です。

新興国は人口の増加もあって、先進国よりも高い成長が期待できます。したがって、長期的には高いリターンが期待できます。人口の減る国、日本の円投資家にとってはリスクヘッジになると思います。資産の一部を長期で、投資するにはこれだと思うのです。

向こう数年の時間を予測して、今年のNISAは新興国ETFの「FM」という選択をしました。

かつて2000年ITバブル崩壊のあとにはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ、サウスアフリカ:ゴールドマンのジム・オニールが2001年に提唱)の大相場がきたのです。 今回も「歴史は韻を踏む」かもしれません。でも今回、BRICSのうちロシアと中国は除きます。当たり前ですね。

中国はゼロコロナ政策の転換で一旦は戻るでしょうけれど、政治のみならず経済のルールまで、偉い人のご意向で変えちゃう国では、長いお金は預けられません。ましてやいよいよ人口が減る国ですし、長期で見て、食指が動きません。

防衛関連では、去年から筆者はLTM(ロッキード・マーチン)に投資をしています。どこの国も防衛費が増額になり、いくつもの国でF-35を採用する報道があったからです。ご存じでしょうか、飛行機って50年飛ぶんです。そのメンテナンス費用を考えると、LTMには向こう50年の安定収入が見込めるわけです。

ここでさらに本日、GDを買付けたのは、昨今の戦車供与の話題があり、また先日の決算で今年のガイダンスが良くなくて、大きく下がったところだという理由です。また、25年以上連続増配という配当貴族の一員でもあります。

筆者は、巨星「FATMAN-G」相場のあとの、世界のお金の行き場所を探しているのです。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その③ アクティブ型投信はインデックスに勝てない、と思っていませんか?

私の体感的には10数年も前から、FPの先生がたを中心にネットの中で、または活字媒体で「インデックス投信が一番だ。アクティブはダメだ」論が活発になったと思っています。アクティブファンドがなかなかインデックスに勝てないのは事実なのですが、何十年にも渡って勝ち続けているファンドもあるのに、何故だか不思議でなりませんでした。

アクティブファンド否定派の最近の根拠としては SPIVA (S&P Indices Versus Active) だと思います。

2022年6月30日データでJapanese Large CapファンドのうちS&P/TOPIX150をアンダーパフォムしている割合が10年では86.18%なのです。これはアメリカでも同様で、All Lare-CapファンドのうちS&P500をアンダーパフォームしたファンドの割合は10年で90.03%なのです。日米とも10年という期間では、約9割のアクティブ投信がインデックス投信に負けています。

ここ3~4年はGAFAMをいっぱい買っておけばメッチャ好パフォーマンスだったのです。ピーク時はSP500はGAFAM+NTでポートの約半分を占めていました。しかしファンドマネージャーとしては高PERのGAFAMばかりでファンドの半分、買ってしまう、なんて乱暴なことはできなかったと思われます。しかし一昨年まではGAFAMばかりが上がり続け、指数は上がり、アンダーパフォームするアクティブ投信がほとんどでした。

1年経った今、GAFAM+NTは見る影もなくなっています。去年6月までの1年間という短期でみると米国でアクティブがアンダーしたのは55.43%でしたから、ま、約半分近くはインデックスに勝つことができた、ということになります。

信託報酬が0.1%低いことを見つけて大威張りするマネー雑誌があったり、私としてはガッカリもしたし、世間はそういうものかと納得もしたのが、昔見た「10万円(の投資元本)で10年で1000円も違う!」という見出しでした。

信託報酬の0.1%よりもファンドマネージャーの腕でしょ、と私は千回も胸の中で叫び、百回以上、お客様に(セミナーも含め)伝えました。その典型がキャピタル世界株式ファンドです。これは日本の投信ですが、その運用は99%以上、米国のNew Perspetive Fundに投資してしまいます。

米国ニューパースペクティブファンドはキャピタルグループが1973年3月13日から運用を開始した、歴史あるファンドです。あと2か月で丸50年です。残高は1073億ドルですから、132円換算で14兆1600億円という巨大さです。ちなみに、日本のネット最大手SBI証券の投信残高を全部合わせて5兆6112億円(2023年3月)です。

私は「運用が上手いから、世界の皆がお金を預け、代が変わっても預け続ける」のだと思っています。私が、歴史あるファンドで、大きなファンドを信頼する、理由がここにあります。

さて肝心の実績です。キャピタル世界株式ファンドの販売用資料によれば、「1973年3月末に100万円を投資したと仮定した場合、2022年7月末現在で約86倍の8588万円(年率リターン9.4%)となり、この間の全世界株式の約27倍(年率リターン6.9%)を大きく上回っています」となっています。

さらに、「この実績は購入時手数料3%、信託報酬等費用年率1.72%を控除しています」とも書いてあります。 10年で1000円も違う、という淋しい考え方とは大違いです。

自分の老後資金を10年、20年預けて運用してもらうのに、または子供のお金を30年、40年という期間を預けるとして、預け先に5年とか10年の歴史しかない投信だとか、残高が1000億円以下だとかの投信は、ちょっとね、と筆者ヘンデルは思うのです。それならシンプルに全米株式連動だとか、全世界株式連動で費用の少ない投信で、という選択は正しいと思うのです。

ただ、条件反射的に「投信ならインデックス投信だ」というネット的・短絡的考え方は見直してみてはどうですか、と提案する次第です。

今日ご紹介したキャピタル世界株式ファンドを運用するキャピタルグループだけでなく、フィデリティやティー・ロウ・プライス、アライアンス、ゴールドマンなど、長期にわたって高い運用実績を続ける巨大なアクティブ運用の会社はいくつもあります。

当然、高い運用実績でないと淘汰されてしまいます。各社の投信は1本1本、運用の考え方、スタイル、投資対象が驚くほど違います。古いファンドほど個性的だと思っています。ぜひ自分でもお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その② 2024年1月、新NISA開始へ iDeCoは?

令和5年税制大綱のなかで「資産所得倍増計画プラン」関連要望として「NISAの抜本的拡充・恒久化」がありました。今後、大綱をもとに法案が作成され、2月に改正法案が国会で審議されて3月に成立、4月施行という運びが通常です。現在は安定政権ですから、このまま通る可能性が高いと言えるでしょう。

この内容は金融機関の端くれの現場で、私が期待していた内容を、遥かに上回るものでした。下は金融庁HPから筆者ヘンデルがブログ上に要点を写したものです。正確、詳細は金融庁HPをご覧ください。

    つみたて投資枠    成長投資枠
年間投資枠     120万円     240万円
非課税保有期間     無期限化     同左
非課税保有限度額つみたて+成長で1800万円
簿価残高方式で管理
(枠の再利用可能)
     同左

 ※成長枠は1200万円(内数)
口座開設期間     恒久化     同左
投資対象商品積立・分散投資に適した一定の
投資信託(現行のつみたてNISA
と同様)
上場株式・投資信託等(①整理・監理銘柄、②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外)
対象年齢     18歳以上      同左
現行制度との関係2023年末までに現行の一般NISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用 
※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可
      
      同左

私がまず何に驚いたかというと、最大で元本1800万円が非課税になることです。なんという大盤振る舞いでしょうか。先日、年金2000万円問題が話題になったところです。ほぼそれに等しい金額の運用は非課税だ、ってことです。

しかしそもそも、です。2022年8月までの1年間にdodaサービスに登録した約56万人のビジネスパーソンの平均年収は20代が342万円、30代が435万円、40代が495万円、50代以上が596万円、だそうです。ということは、ほとんどの日本人にとって、毎年「つみたて+成長」で年360万円の投資枠をフルに使うのは非常に困難だということになると思われます。(すでに貯蓄があって、そこから回す人は別です)

「いやいや、毎年360万円ずつ5年間投資に回す、なんてのは無理なのはわかってる。20年がかりで埋めるんだ」という考えもあるでしょう。それはアリです。生涯非課税ですから。しかし更にいうと、配偶者と合わせたら世帯で3600万円!の元本が非課税になるというわけです。多くの日本人には手が届かない・・んじゃないでしょうか。。  この制度を使う使わない、どう使う、によって、ムチャクチャ格差を助長することになる気がします。

2つめ、驚いたのは1800万円の枠の再利用が可能ってことです。ただし、年間投資上限360万円はあるので、極端な例では、毎年360万円ずつ投資して、5年で1800万円投資しました、5年目に全部売りました、とすると、6年目には360万円の枠が復活する、ってわけです。

これは重要です。現行NISAでは損切がしづらかったです。損益通算できないし、ロールオーバーするのでしょうがない、という状態です。来年からの新NISAは、後日要るお金で、いずれ売るお金でもOKってことです。益なら非課税、損ならしょうがないけど、売っちゃっても来年またはそれ以降に新たに非課税で投資できます。総枠で1200万円または1800万円になるまでは。

つみたて投資は毎月10万円が上限です。といっても毎月10万円投資できる人は少ないかもしれません。あとで述べますがiDeCoとの割り振りもありますし。つみたて投資の銘柄は、何も考えず「S&P500連動投信」か「全世界投資」が良いと思います。

実はひと捻りした銘柄をご紹介したいのですが、それは次回ということでご了解ください。(もう長くなりましたので) 

ちなみに、私の長男にはS&P500連動積立、長女には世界バランス型積立(株+債券)、私自身は確定拠出年金で、あるアクティブ投信で積立もどきをしています。

私としては成長投資枠でもインデックス投資が主となって良いと思います。個別株投資はなかなか勝てるものではありません。

ウォーレン・バフェットという名前を聞いたことがあると思います。去年のフォーブスでは世界第5位の資産家です。1180億ドル(15兆5000億円)です。彼は株式で財産を作りました。その彼が妻に対し「自分の死後は資産の90%をS&P500に連動するインデックスファンドに投資し、残りの10%を債券に投資するよう推奨」しているのは有名な話です。ただし、資産の85%は寄付すると発表しています。

ただ、リタイア層のかた(私もですけど)で配当ニーズがある場合、現在の日本には配当利回りが高い銘柄が増えましたので、配当を期待して投資するという考え方はあると思います。(配当まで非課税になるとは確認できていません。たぶん大丈夫だと思います)

前回のブログその①に記したように、今年は10年に1度のチャンスの年だと思っておりまして、なるべく早く、今年のNISA枠は埋めていきたいと思っています。今年のNISA枠は来年以降も有効ですから。つみたてNISAは20年有効です。

ところで老後に備えての投資としてはもう一つ、確定拠出年金制度があります。特に自営業者のiDeCoは強力です。自営業者は毎月68000円が積立可能、12カ月で年額816000円を積み立てて、これが所得控除となり、運用中は値上がり非課税、受取は公的年金等控除、退職所得控除の対象になるのです。

配偶者がいればiDeCoも更に倍!ですし、青色申告の人でしたら配偶者を専従にして給与控除も可能です。 ・・・とはいえ、この制度も、私の娘のような零細自営業者には、60歳まで下せない(年金ですから)こともあってとてもフルには投資できません。 

新NISAと同時に、企業型確定拠出年金またはiDeCoの、どちらを優先するかは人それぞれとしか言いようがありません。

NISAはとにかく最後まで売却したとき非課税です。しかし損で売却すると、損益通算できません。

一方、確定拠出年金は所得控除です。値上がりしなくっても所得税が減る分だけ、実質プラスになると言えます。受取の時は、課税とはいえ優遇税制です。退職金控除は積んだ年数に年あたり40万を控除して、それを超えた分は1/2にして所得税です。年金受取りの場合は公的年金等控除が適用されます。 ※概略を記しています。詳しくは国税庁HPでご確認ください。

最後に余談です。筆者ヘンデルの感覚です。コロナ対策も、老後の年金も、国土の防衛費も、自分でやってね、自分で守ってね、という時代になったという気がしています。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。