経験に基づく投資の話 その㉗ トランプ関税を考える(ヘンデルのアタマ整理用)

トランプ関税について、自分のアタマの整理用に、ゼロから考えてみます。(認識不足による変な誤解、誤りがないよう努めます)

日本がアメリカに輸出する自動車には、今までの関税率に加えて25%が上乗せされます。
これって結構、本邦自動車メーカーは乗り切れちゃうんじゃないでしょうか。

アメリカから見たら、1.25倍の値段になることになります。
日本で言えば、今日500万円のアメ車が明日から625万円になりますよ、という勘定です。

この「関税25%」ということは、筆者が以前に書きましたけれど、日本の自動車メーカーにとって、150円だった為替が25%円高の120円になるのと同じ効果です。
これって、本邦企業はこのくらいのことは過去、やってきた、乗り越えてきたんじゃないの、と思う次第です。

振返ってみればアベノミクスが始まったとき、1ドル80円台でした。2020年のコロナ発生当時のレートは100円トビ台だったのです。
それが去年は160円に達し、今円高だって言っても143円です。
自動車会社の方には誠に申し訳ないのですが、言っちゃあ何ですけれど、濡れ手に粟の4年間だったんじゃない? とも思います。 

こんなことは証券会社の人はレポートに書けないだろーなーと思います。トヨタさんにはお世話にいなってますから。

その他の日本製品は24%の相互関税です。
てことは150円の為替が121円になる換算ですから、歴史ある(100円以上の円高を知っている)たいていの企業は耐えることが可能でしょう。

株価は。
濡れ手に粟がなくなってしまえば、つまり業績は悪化しますから、残念ながら株価はその分、下がるのが当たり前ですね。

日本は、お隣のかの国のように「24%の報復関税だー!」とはなりません。
小麦や大豆の値段が 今のドル円140円×1.24=174円!換算になってしまうからです。

輸出企業が大減益になり、国内インフレが二桁、なんて近未来は想像したくもありません。

4月12日23:07「米国、相互関税からスマホ除外 iPhone根上がり回避」というニュースが入りました。次のパラグラフはなかったことに修正させてください。
一方でアメリカではiPhoneの買い替えが進んでいるそうです。iPhoneは中国製だか らです。合計145%の関税だとしたら・・ 中国からの輸入品は値段がいきなり2倍を超えるでしょう。
米国内で1000ドルだった製品が2000ドルを超える、一方で日本では1000ドルのままです。「大阪万博ツアーiPhone購入権付き」でインバウンドがさらに増えたりして・・

当面、何か月間かは米国経済指標は好調でしょう。
APPLを含め、米国企業は関税に備えて在庫を目いっぱいにしているに違いないからです。目いっぱい在庫を積み上げた、または駆け込み需要の経済指標がこれからでてきます。

ただ企業決算の来期のガイダンスは期待できません。悲惨なものになる可能性があります。

ところで、ディールの最初の交渉相手に選ばれたのが日本です。
世界で1番、朝飯前の相手、チョロい相手と見込まれたのかもしれません。
「日本はこんなにカードを切りまくったぞ!」と次の他国とのディールの見本になるような交渉を期待して、のことではなかろうかと思う次第です。

トランプ関税の負の効果はいっぱいありますが、プラスの効果はないのでしょうか。
ド素人の門外漢のヘンデルが思いつくまま書きなぐります。

コメです。
農林水産省とJAの旧態依然とした関係、備蓄米を放出してもなお値上がりする状態に結果としてメスが入るでしょう。
筆者はコメ農家に影響がでることは望みません。
しかし今回のディールの日本側の有効なカードはコメでしょう。
牛丼チェーンや回転ずしの会社は潤うことになる・・潤うほどになるまでカリフォルニア米を輸入したら良い、と思います。

ライドシェアやロボタクシーのアメ車輸入などの規制緩和も重要なカードの1つでしょう。
ライドシェアが何故進まないのか、詳しくありませんが、タクシー業界には打撃でも、特に地方の運転免許証を返納した老人には朗報となるかもしれません。
さらに、役所にテスラ車購入を義務付けたりして。(それはないか・・)

過去も、これからも、外圧こそ日本が変わるチャンスです。(外圧でしか変われない)

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その㉖ 投資対象先もパラダイムシフトかもしれない

4月4日SP500は5074Pとなり、トランプさんの関税率発表からの2日間で、終値ベースで596P安となりました。
2月19日終値ベース高値6144Pからは下落率17.4%、弱気相場入り目前です。
NASDAQは下落率22.2%と、すでにベア・マーケット入りになりました。

そんな中、ある友人からLINEが来ました。
「VIXが30を超えたらSP500を買う!の自分ルールの発動です」

(VIX指数とはS&P 500のオプション取引の30日のインプライド・ボラティリティを元に算出するもので、日本では恐怖指数とも呼ばれます。 ←オプションて何? インプライドボラティリティって何? それは「テレビの箱の中身はわからなくても、スイッチ付ければ楽しめるよね」と同じということにしておいてください)

昨日、VIX指数は45.31でした。
VIXはリーマンの時が79、コロナの時で65、ってくらいで40超えはめったにありません。
GOOGLで検索しました。

滅多にないどころか、見たこともないのがFear & Greed Index(恐怖と欲望指数)です。それがExtreme Fearの領域、それもただの「4」という水準です。

 CNNサイトからです。

さらに。プットコールレシオが「1」を超えました。
プットコールレシオとはプットの取引量をコールの取引量で割ったもので、通常は強気の人が多いですから、0.6~0.8程度のところでウロウロしているものです。
プットを買う人の方が多くなっちゃった! てことです。

以上の3点をもちまして、4日(金)時点で投資家は震えあがった、金〇が縮み上がった、と判断します。

なので冒頭の友人の意見は悪くない、と思うのですが、投資対象にひと捻り加えてはいかがかと筆者は思うのです。

トラの関税率にはスコット・ベッセント財務長官がついています。スコット・ベッセントは、かのジョージ・ソロスのもとポンド危機を主導した人物として知られます。その後、自らヘッジファンドを主宰していました。

ベッセントは関税収益を減税措置の財源として活用することを構想しました。チップや社会保障給付金課税撤廃を優先し、これらを経済成長の起爆剤と位置付けています。
相手国の非関税障壁撤廃や補助金中止を条件に関税を免除する「交渉カード」の活用も提言しています。
「攻めの関税」と「守りの減税」、「減税による経済成長で税収増」の組み合わせは、素人の筆者ヘンデルにして、出来たらもの凄いことだよね、と思えます。
日本のいわゆる「頭の良い人たち」の感覚とはちょっと違うかも、です。

パウエルFRB議長によるパウエルプット(利下げ)も今は様子見です。

そこで、「米国は当分しんどい」として、歴史を振り返ります。
History doesn’t repeat itself, but it often rhymes.
歴史は繰り返すのではないが、よく韻を踏む。 マーク・トウェイン

去年の2月でしたか、AIバブルがやってきた、として本ブログで取り上げました。
筆者ヘンデルも踊りを踊りました。
今回は早くも、バブル終焉とその後を想像しています。

2000年にITバブルが崩壊しました。
その翌年、ゴールドマン・サックスのジム・オニールが「BRICs」を提唱しました。
ITバブル崩壊のアメリカに代わって、ブラジル、ロシア、インド、中国(のちに南アが大文字S、として加わります)が人口規模、経済成長率、資源の豊富さなどを背景に、新興国への投資ブームが巻き起こりました。
このブームは2010年代まで続いたのです。

つまり、今は、AIバブル崩壊のアメリカからフロンティアに乗り出すときが来たのではないかと思っているのです。

歴史は繰り返す、として、過去の経験をお話します。
前回のITバブル崩壊のあとは10年以上、ハイテクにはペンペン草も生えない状態が続きました。目立つところや、美味しいところは全部食べちゃったってことです。

そして現在です。
米国、中国に代わる投資先、それも成長マーケットとしては・・ 
復興需要のウクライナ、お隣のポーランドなんでしょうけれど、ADRで買える銘柄は多くありません。

そこで・・ 憲法改正までして、米国だのみNATO体制から脱却し、インフラ投資に舵を切った、ドイツに注目しています。詳しくは「経験に基づく投資の話その㉕ パラダイムシフト・・かもしれない 其の2」 をご参照ください。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

経験に基づく投資の話 その㉕ パラダイムシフト・・ かもしれない 其の2

1990年に日本のバブル崩壊が始まり、そのドン底は1997年山一倒産、そしてその前後の銀行、保険、証券、建設その他の老舗企業の破綻でした。

同時期にアジア通貨危機、ロシア破綻もありました。
アメリカ以外、世界中がダメダメだったのです。

その頃、アメリカではインターネットブーム、ITバブルに沸いていました。
まだマウスのないPC9800ユーザーだった筆者は、APPLのマウスに驚き、フロッピーからCDROMへの変化にたまげ、インターネットに腰を抜かしたものでした。

当時自分は職業柄、投資は行っておらず、お客様には米国株で相当、踊りを踊っていただきました。「Wintelco(ウィンテルコ:Windows-Intel-cisco)トライアングル時代」とアメリカで言われた時代でした。

あの頃以来、筆者は日本株式とは縁を切っていたのです。
その後20年以上、お客様に個別日本株をお勧めすることはありませんでした。

栄華を誇った米国ITバブルが崩壊したのはY2K問題が理由でした。
2000年になると、古いコンピュータは00年と誤作動してしまうと心配され、1999年には、もの凄い設備更新が行われたのでした。
その後、当然ですが買い替え需要は激減、ネット企業は大不況になった、というのが真相です。(と筆者は理解しています)

さて現在のAIをめぐる状況です。
ちょっと前までは。 生産性が上がる、人が(優秀な人ほど)いらなくなる、でも膨大な設備投資が要る、というのが常識でした。

ところが、中国製DeepSeekの発表で、ホントかどうか、560万ドルで出来ちゃったってことになりました。スプートニクショックとも呼ばれました。

一方で、トラさんは関税を手段として世界を不況に突き落としそうな勢いです。
不況は株式にとって、金利の上昇よりも痛手になります。そりゃそうで、株価の命綱、業績が悪くなるのですから。

ついでにトラは「自分の身は自分で守れ」と言っています。
これって至極当たり前のことだと筆者は思います。

そこで! ドイツが反応しました。
時あたかも新首相になることが決まっているCDU党首メルツさんが3月15日、BBCの伝えるところによると

Germany is back, says Merz after historic spending deal

※歴史的歳出合意ののちに、メルツはドイツは復活したと語った。

これには筆者はシビれました。
トランプさんが3月4日施政方針演説の冒頭で「America  is Back」と言ってニヤリと笑ったのを受けてのことか、どうかはわかりません。(限られたTV番組しか見ないので、日本で報道があったか、どうかさえも筆者は知りません)

緑の党が憲法改正に賛成する(条件付き)と決まって、5,000億ユーロ(約80兆円)の軍事費増額、5,000億ユーロ相当のインフラ投資が実現に向けて大きく前進したのです。それを受けての「Germany is Back 」でした。

今晩投票にかけられます。
筆者は「決算を見てから、上がったところを買いに行く」を実践したきたのですが、メルツさんのGermany is Backにシビれてしまって、ドイツに投資しようと思っている半分の金額を昨日、買い付けました。

ALV(アリアンツ保険:フランクフルト)は実はフライングで3月初めに買ってました。

昨日はEWG(MSCIドイツETF:NYSE)を買付け、息子に将来渡す投信積立で日興さんのインデックスDAX(ドイツ株式)を始めました。日興さんの投信は残高が34億円しかないのが気がかりですが、インデックスファンドだし、ということで「マ、イッカ」と思っています。(ドイツの投信ってヘッジ無しは多分、他にないんです)

約30年にわたって米株と米ドル1本だった筆者がついに、欧州(ドイツとユーロ)を始めました。

ちなみに筆者が保有している米国の低PER株は ADM(下がってる)、DE、GD、LMT、IBB、NEE、NEM、GOLD、CCJ、 XLE、BA、 などなど、他にわずかな日本株、インドETFとベトナムETF、最後にこれが重要なのですが金融資産の半分は某外国株投信です。 

引退して年金生活なのに、住宅ローンも残っているのに・・・ 
(住宅ローンは年1.06%の固定金利だから、あえて借りたまんまで運用にまわしているのですけれど)
リスク取り過ぎなのは承知しています。。。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その㉕ パラダイムシフト・・ かもしれない 其の1

ご無沙汰しました。久しぶりに投資の話です。
去年の暮れから昨日まで、私のポートフォリオには大きな変化がありました。

昨年夏より米国10年国債利回りが上昇し始めました。
昨年9月に3.5%程度だったのが、今年1月には4.8%に達しました。

その間には大統領選挙がありました。
ご承知のとおりトランプさんが勝って、バラマキが始まりそう、それじゃインフレは収まらないよね、だったら金利は上がるよね、という当時の見通しでした。

「高PER株は金利に弱い」 これは投資の基本(キホン)の「ホ」程度だとは思いますが、筆者には骨の髄まで浸み込んでいるのです。
今年1月当時、10年債が5%になったら、と云いたいところでしたが「アタマとシッポはくれてやれ」なんてのは今だから言えるタテマエで、実は心配でしょうがなくて、その手前の4.5%になったのを機会に「高PER株」≒(nearly equal)「AI銘柄」をバッサリ売却してしまったのでありました。

保有のAI関連株はNVDAはもちろん、TSM、PYPL、からGOOG、MSFTにいたるまで思い切って売却してしまいました。ハイテクで残したのは10年近く保有しているSMH(フィラデルフィア半導体指数連動ETF)と数年保有のTSLAだけです。

売却してみると(大儲けだったこともあり)もの凄くホッとした感覚を、初めて味わいました。
ご存じの通り、筆者は長期投資を旨としています。
過去、決算が悪くて売った株はありましたが、そうでない売却(いわゆる利喰い)は、ほぼしたことがなかったのです。

売却後NVDAは3日間上昇して、今にして分かりましたが、そこが最高値ということになりました。

なぜなら、筆者の売却後10日にして DeepSeek Shock が発生したからでありました。

世界は去年の春・夏にはAIブームに酔っていました。
30年前のWindows95に始まるインターネット相場、いわゆるITバブル以来の大変化だと思っていたのです。
あの当時、労働生産性が急上昇しました。エクセル、ワード、電子メール、データ保存デバイスなどで、仕事場と仕事内容が一変しました。

今、AIの登場によって、再び労働生産性のもの凄い上昇が見込まれています。
スタンフォードを出て、グーグルに入社して、なんていうサラリーマンヒエラルキーのTop of The Top の人たちがいらなくなる時代が来ているのです。IT企業では何万人という解雇が行われました。

そこに! そこにDeepSeekです!
スプートニクショックの再来というヘッドラインもありました。

一方でトランプさんです。
「アメリカは世界のお巡りさんを辞める!」と宣言したに等しい行動です。
同時に、関税を使って、世界同時不況に陥る危険を冒しています。

これを、このアメリカの変化を、筆者ヘンデルは表題の通りパラダイムシフトの可能性、と思っているのです。

さて、現在CASH比率の高い筆者は昨日から買付を始めました。
何を買ったか、 それは次回に。

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経験に基づく投資の話 その㉔ 2024年8月月初の世界株価暴落 Ⅱ)歴史に学ぶ投資戦略

8月5日の日経平均の下落はブラックマンデー(1987年10月19日)よりも下げ幅が大きかったそうです。下げ率では少々足りませんでした。

筆者が体験した暴落は1987年ブラックマンデー、1990年日本のバブル崩壊、2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2020年コロナショック、そして今回の日銀ショックです。

支店でリテール営業を35年やってきた、つまりは本社情報系の部署には縁のなかった(要は頭脳労働には向いていないと評価されていた)筆者の感覚で言うと、暴落には2種類ある、と思っています。

景気循環とそれを増幅する金融政策のミス、避けようのないミスによるもの。

もう一つは、金融システムの崩壊、崩壊危機によるものです。

金融システム危機の方から紹介しますと、古くは日本のバブル崩壊の時です。1990年の不動産融資の総量規制に端を発した株価の崩壊は、1997年、1998年の銀行・証券・保険会社の破綻まで続く、長く苦しい下落局面でした。

2008年のリーマンショックはCollateralized Loan Obligation(サブプライムローン=信用の低い人向け住宅ローンを寄せ集めて、AAA債からメザニン債、エクイティに仕立て直す、短時間では説明できないややこしい金融商品)に先進国主要銀行すべてが騙され、阿波踊りを踊った結果のショックでした。(同じ阿呆なら踊らにゃ損損・・・ ホントに損しちゃった)

この2件については筆者のみならず、金融の真実、深淵を知る者、知ろうとする者には奈落の底に引きずり込まれる恐怖だったのです。お金を預け、取引決済する銀行が信用できない世界です。社会として、どれだけ恐ろしいことかご想像ください。

お話は戻ってブラックマンデー、ITバブル崩壊、そして今回の日銀ショックです。(コロナ由来だと思っています) これらは景気循環を増幅する避けようのない金融政策のミスに起因していると思っています。

まずブラックマンデーです。80年代、米国は双子の赤字(財政赤字、貿易赤字です。懐かし~! 当時筆者は本気でアメリカが破綻する心配をしていました)に悩まされ、ドル安もあってインフレの恐怖で金利を上げていました。そこに持ってきて、西ドイツ(当時)がブンデスバンク伝統の「景気を殺してもインフレ退治」と噂されたほどのタカ派政策で、空気を読まない金利引き上げを行ったものですから、暴落の引き金を引きました。
さらに、コンピュータ売買のハシリ、と今にして思うのが当時「プログラム売買」と呼ばれた、下がってくると自動で売りを出すシステムでした。売りが売りを呼ぶ、恐ろしい下げっぷりでした。

ITバブルの序章は1996年にグリーンスパンという「マエストロ」とも呼ばれたFRB議長が「根拠なき熱狂」と表現したことに始まります。ITバブルはFRBがFFレートを上げても上げても株価上昇は止まらす、6%以上まで引き上げられました。2000年、業績の悪化をきっかけに、ついに株価は急落、2001年には利下げに転じ、エンロン破綻にいたってITバブルは終了しました。

そして今回のガラです。頭の良い先生方がいずれ解説すると思いますが、コロナに対して、世界中の中央銀行が現金をバラまいたこと、公的・民間を問わず信用を供与したこと(お金を貸したこと)、まして日本ではアベノミクスの号令のもとデフレ脱却にあらゆる手を打ったところに更にお金を撒いた(国民お一人10万円とか)わけですから、そりゃ日経平均40,000円にもなるわね、てなものでした。 
これまたコロナという中央銀行では制御できない要因が働いたと考えられます。

つまりは金融危機を伴わないガラは回復が早いことをお伝えしたいのです。ただ、日経平均もSP500も日柄整理、値幅整理とも足りません。買い出動はまだです。

日経平均で言えば週足一目均衡表でクモの下限を下抜けちゃったし、2020年3月と2023年1月の安値を結ぶサポートラインは31,000円どころにいるのですが、その1/2押しが29,555円と大台割れのところです。

アメリカに至ってはNYダウ、SP500、NASDAQとも、最近の値上がりが大きく、下げもたいしたことなく(TVで「10%さがるとコレクション(調整)だ」と言っていましたが、筆者の常識では20%下げです)トレンドラインを引っ張っても、まだ役に立ちません。 ・・・つまり、たいしたことないってことです。

VIXという指数があります。CBOE:米シカゴ・オプション取引所が計算している、SP500 のオプション取引のインプライドボラティリティです。投資家心理を表し、数値が高いほど先行き不透明感を表します。これが8月5日には瞬間65を超え、コロナ以来の高水準になりました。その後今朝には落ち着いてきて29.12です。
ただ、痛いのはスポットのVIXより、VIX先物です。これがバックワーデーションを起こしているそうです。これは先行き不安定、下落相場を示唆します。(バックワーデーション、コンタンゴについての説明は今日のところはパスさせてください)2020年2月にはバックワーデーションが52日も続いたそうです。コンタンゴに戻ると、その後大きく上昇しました。

8月はひとまず収まるかもしれません。しかし9月は中東地政学リスク、大統領選の不透明さ、景気後退リスク、と株式市場にとって、いいところがありません。

株式市場は不透明感を嫌います。
8月22日~24日開催のジャクソンホールシンポジウム、9月FOMCでの利下げ(0.25なのか0.5なのか)、が終わって11月5日大統領選、このあたりまでデコボコすることを予想します。
その後は毎年のアノマリー(説明不能な季節変動要因)通り、年末年始の株高に向かっていくと予想します。

なので調整(下落)期間は短く、3か月ほどかと思います。
新NISAで積み立てをやってる人には「チャンス!」と思って継続をお勧めします。

 

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経験に基づく投資の話 その㉓ 2024年8月月初の世界株価暴落 Ⅰ)何があったのか 

日経平均は、1987年のブラックマンデーを超える下げ幅を記録しました。ブラックマンデーをその時、現場で知る者として、当時の記憶と現在を比べてみたいと思います。

 

 

8月1日日経平均は975円安の38,126円となりました。円ドルが148円台に円高になったのが原因です。

その前日7月31日、日銀植田総裁は0.25%への利上げを発表しました。2016年1月マイナス金利スタート以来の「金利ある世界」が始まるのです。さらに引き続き金利を上げる可能性も示しました。

日本株の上昇要因のほどんどは今も昔も「円安」です。日本がついに利上げし、さらに上げる方向となると、日米金利差が縮小するということです。ましてアメリカは反対方向の「利下げ」が期待されているのです。株式市場では。

植田総裁タカ派転換をみて、筆者は「こりゃ相当、ヤバいんじゃね?」と思いました。日本の利上げこそが、ここ数年の世界株高に対する心配事項のイの一番だと思っていたのです。

何が正しいかなんてわからないのですが、筆者としては、去年の暮あたりから少~しっつ、リークもしつつ、株安の痛みに耐えつつ、引き締めへの階段を1㎝ずつ登るべきだったと思うのです。米国との対比で、今となっては遅すぎました。

たぶん世界株高を支えている「円キャリートレード」の終焉、unwind、巻き戻し、つまり「金利ゼロで円を借りてドルを買う、米国株を買う、日本株を買う(ウォーレン・バフェットのように)」という仕組みが逆回転することになるのです。

ゼロ金利解除は、借金返済のために世界の株・投資案件を売却・換金し、得た外貨を円に換える(=円高になる)ことになるのです。

(筆者の個人資産はたまたま6月24日、NVDAが高値を付けた2日後、グラリときた日にNVDAを含めAIがらみ銘柄はすべて「頭とシッポはくれてやれ」とばかりに売却していたのです。結果、これは幸いでした。でもドルのままにしておいたのは残念でした。現在ガチホにしているのは、防衛、薬、資源、インドETF積立などのディフェンシブです。今回の下げで評価額は減りましたけど。例外として、ハイテクで持っているのは、何年も前に買ったTSLAとSMHだけです)

7月31日植田総裁会見の当日夜、米国ではFOMC(連邦公開市場委員会)が行われ、パウエル議長は「9月にも利下げ」と発言しました。FFレート(米政策金利)先物は8月2日には、次回9月24日FOMCでの0.5%利下げ確率は73.5%に達しました。通常は0.25%ずつなので、大幅です。米国はbehind the curve(後手に回る)だと思われます。

8月1日、NASDAQは円キャリートレード解消の影響があったかは不明ですが、405ポイント安(2.3%安)、雇用統計が悪くてガッカリした8月2日は417ポイント安(2.4%安)、週明け8月5日は576ポイント安(3.4%安)の急落でした。金利が下がるのは、株価にはプラス要因なのですけれど。

これは金利を大幅に下げねばならないほど、景気が悪化する見込みであることを嫌気したと思われます。

リセッション(景気後退)のときの株価推移は、SP500指数でみると、1990年湾岸危機のとき-20%、2001年ITバブル崩壊のとき-26%、2008年リーマンショック時-55%、2020年コロナショック時-34%でした。これだけの下落実績なら「リセッションかも」って言われれば「株は売っておこう」になりますね。

米株安を受けてなのか、日本が震源地だからなのか、わかりませんが、日経平均はFOMC結果と植田会見によりまして、8月1日-975円(2.4%安)、8月2日-2,216円(5.8%安)、明けて8月5日-4,451円(12.3%安)という大幅ヤンチャぶりでした。

相当、信用取引で投げが投げを呼んだと思います。バブルの頃と信用取引のルールが変わっています。ネット取引がほとんどですから、証券会社は顧客の面倒は見ない、リスクを取らない、つまり強制決済が即、待っている、追証(追加保証金)を入れても維持率は回復しづらい仕組みなので、ズコバコ強制決済が次々なされる(売却が出る)わけです。

さてここで、今回の世界的ガラ(暴落)の理由を整理してみます。

①7月31日の日銀の利上げ  これから始まりました。国債買い入れの縮小だけでなく、ほんとに0.25利上げしちゃった!(サプライズ!) 日銀は財務省指示で実弾為替介入もしちゃったことだし、「円安によるインフレ」が気になってしかたなかったのでしょう。

②円キャリートレードの巻戻し  これがどれほどの規模で行われていたのかは不明です。 UBSのマルコム氏によればピーク時に少なくとも5000億ドル(70兆円)だそうです。人によっては4兆ドル!(600兆円)と云う人もいます。これは世界の株価のみならず、いろんな投資案件に、相当ショックが走るはずだと思います。

③8月2日の米雇用統計 といっても失業率が4.3%です。筆者の知る限り、歴史的に決して高い水準ではない、どころか十分に低い水準だと思います。金利が5.25%でインフレが3.0%にコントロールされている経済です。すごく良い経済状態だと思うんだけどな~。政策対応余地はいっぱいありますよね。
もちろん株価も、経済政策も「先を見る」ものですから4.3%でも「悪い数字」なんですけどね。 パウエルさんの本音は「こんなことなら7月に利下げ、しとけばよかった」でしょうね。

どうも今回のガラ(暴落)の命名は「日銀ショック」で良いかもしれません。

長くなりました。ブラックマンデーの記憶や経験則、今回の局面の見通しについては次回、といたします。

Ⅱ)投資戦略 につづく

 

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経験に基づく投資の話 その㉒ 長期投資を旨とする筆者が売却するとき

株式を売却するとき、それはまず、お金が要るときです。先週、「愚息でも良い」と言っていただける雛にも稀な姫君を、愚息が拙宅に連れて参りました。その結婚支援のために保有株を売却、換金しました。これから何年かに渡って贈与していきます。

こんな時こそ、やられ玉の売却の機会でありまして、過去2倍になったところで買い増しまでしたJMDC(結局は損失)、損はしなかったけど売り時を逃したリクルートといった長年持った日本株を売却しました。

さらに、ついでとばかりに・・ 長期で持つつもりで買った米国AI株の一部も売却しました。本ブログ「経験に基づく投資の話 その⑲」で保有しているAI銘柄としてご紹介したなかで、DUOL(デュオリンゴ)とS(センチネルワン)を売却しました。どちらも決算が悪かったのです。来期のガイダンスが市場予想に届きませんでした。市場予想が高すぎるだろ、ということはありますけれど。

これは相場の達人の言で「若い会社が決算をミスすると、それはクセになる」に従いました。Sなんか安いところからいったんは2倍まで行って、これはAIブームでテンバガー候補だろう、なんて期待したのですが、決算を見てから売却したら・・ 2割ほどの儲けで畳むことになりました。

筆者の投資スタイルとして「売却するときにはヤラれている株から売る」のがセオリーです。個別の値下がりも含めて、全体としての資産価値を毎週評価しています。全体の評価が上がっている今なので、損切も全く問題ありません。

極論ですけど、50ドルの株を買って、2倍になれば50ドルの値上がりです。一方、50ドルが半分になっても25ドルの評価損です。 儲かっているものを大事にしたいです。米国株では。

(日本株は以前書きましたが「上がったら売らないと下がっちゃう」という30年でしたから、トレーディングが必要でした)

現在、筆者のポートフォリオはフルインベストメント状態です。息子の結婚支援のために保有株を売却するくらいですから。日本株は全体の1割程度です。現在、値上がりするときにはほぼSP500並み、米金利が下がりそうもなくて値下がりするときにはディフェンシブなポートになっていて、満足しています。(ストレスが無いのが一番かも) 今回「この先どうかな、ちょっとダメかもね」という銘柄を処分したことでスッキリしました。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

物価は円の対内価値であり、為替は円の対外価値である 経験に基づく投資の話 その㉑

記憶に定かではないのですが、多分「本石町日記」さんのXだかブログだかにあった言葉です。もの凄くその通りだと思います。勝手にお借りしました。申し訳ありません。

ご存じの通り、観光地はどこもインバウンド(外国人観光客)が目立ちます。これって日本文化の素晴らしさの魅力と同時に、日本の行き届いたサービスの安売りに群れ集ったのだと思っています。円安は日本の労働力の安売りに他なりません。

ちょっと前まで、あれほど忌み嫌った円高は、実は外貨を安く買えるチャンスだったのです。

資源のない国で、加工貿易により輸出で稼いできた国ですから、働けば働くほど(成功すればするほど)輸出代金として得たドルが溜まり、そのドルを売って円を買うから円高になり、円高で手取りが減る分、費用を削り、品質向上を図り、もっと働く、というスパイラルに陥ってきた数十年であったわけです。

たまりかねた企業は外国に工場を移していったわけですが、実は、円高に我慢できなくなったその時こそ「外貨を買う」絶好のチャンスだったわけです。

あれほど欲した円安は、日本の貧困化(対海外で相対的に)でしかなかったと思います。通貨高で滅びた国はありません。ブラジル、メキシコ、ロシア、アルゼンチン、いずれも通貨安で破綻しました。

今、通貨安といえばトルコです。10年前1トルコリラ50円くらいだったのが今は5円以下です。
トルコにはトヨタをはじめ、フォード、いすゞ、ステランティス、現代、メルセデスといった自動車メーカーの工場があり、欧州に向け輸出しています。なので通貨安はウェルカムです。
また、観光立国です。外国人旅行者受入数ランキング(令和2年観光庁)ではフランス、スペイン、米国、中国、イタリア、トルコの順で世界6位の観光大国です。

日本はトルコを目指しているのでしょうか。トルコの2月インフレ率は67%です。

以下は「本石町日記」さんの受け売りの抜粋です。ネットで確認したので間違いありません。筆者なりの見解を加えた文章です。
「アリとキリギリス」の現代寓話です。

日本では労働者はアリのように常に働き、報われる時はない。何故なら通貨安に依存して労働力を安く売る戦略だから。
冬になって飢えたキリギリスが訪ねてきたとき、キリギリスはアリの余りに貧しい生活に驚く、というオチになる。
または、遊んでいるように見えたキリギリスは投資をして稼いでいたので、冬になってもゆったり暮らすことができた、というオチもある。

モノづくり時代に円高を忌み嫌い、通貨は安い方が良い、という思想を変えられなかった弊害が、現在も続いているのではないでしょうか。
金融資産の9割が実質ドル建てになってしまっている筆者には円安ウェルカムではありますけれど。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

最高値更新した日経平均、マンション需要の高まりに思う 投資の話その⑳

日経平均は史上最多値更新で僥倖なことでございます。前回高値の1989年に至る過程、その後の失われた30年を、身体で知る人間としてはなんとも感慨深い・・・ かと思いきや、何だかまったくそんなことは感じていません。あまりに当時の日経平均株価と今の日経平均株価の構成が違うので、別物感しかないのです。外部環境も違いすぎます。

調べてみますと「1989年の日経平均」と「2021年の日経平均」の構成銘柄では、概ね3分の2以上の銘柄が入れ替わっているのだそうです。同時に30年の間に筆者の関心が完全にアメリカに向いてしまったこともありますけれど。

それと日経平均は、もとは単純平均なので値嵩株(株価の高い株)が大きな影響を持ちます。半導体製造装置の東京エレクトロンが上値を更新し続ける中、ウエートは10%に近づいており、指数寄与度が最も高いファーストリテイリングと合わせると約20%。このほか、アドバンテスト約5%、ソフトバンクグループ、KDDI、といった限られた銘柄によって牽引される、米国の影響下の「国内AI指数」の様相になりつつあります。

「円安で株高」と言われます。これに違和感があります。円安で物価高になり、内需が崩壊しているのが現状です。ここのとこ、偉い先生がたや報道は間違っていると思います。実質賃金は22か月連続マイナス、GDPは2期連続マイナス(定義上はリセッション)、内閣支持率はアベノミクス以来の最低値、それなのに日経平均は最高値、・・・なんでやねん。 ・・実感がなくて当たり前です。

外国人にとっては、日本株高によって円安ヘッジのニーズが生まれています。だから円安が加速しています。

円安だから株高になっている、わけではないでしょう。なぜなら。日本経済の輸出依存度は15%前後、過去50年で20%になったことはないのです。輸出依存度が40%前後のドイツ、韓国なら「良い円安(通貨安)」という主張も通るでしょうが、日本は米国同様、内需主導の経済です。その内需が、円安による物価高でダメじゃん、になっているのが現在の日本です。

自民党を含め議員の先生方とそのブレーンは頭が古いかも、です。円安にすれば日本が復活するとか、輸出業が復活するなどと思っている可能性を疑います。

もっとも指数で言ったら、今のアメリカ株だって、ある意味似たようなものです。S&P500という指数は時価総額加重平均なので、単純平均の日経平均よりははるかにマシなはずなのですが、マグニフィセント・セブンと呼ばれる7社が巨大すぎるのです。S&P500全体の3割を占め、残り493社はカヤの外、といった塩梅です。

日本のマンションが過熱しています。県庁所在地公示地価ランキング41位の前橋、前橋初の駅前タワマンが今月出来上がる、と思ったら、その真ん前にもう1本着工します。

南町田駅前のタワマン、ドレッセタワー南町田375戸は完成前に完売です。5000万前後から1億8000万円台です。同じく南町田の東京女学館跡地の大規模マンション、パークビレッジ南町田582戸も完売しました。駅から徒歩15分以上かかると思うのですけれど。

株が上がってマンションが上がって・・ いつかみた光景です。

マンションはコロナで玉不足になり、インフレ・円安、人件費上昇、で値上がりするのはわかります。それを買う人がいます。低金利と外国人が背景です。23区内ならわかります。値上がりした都内マンションでも、同規模の香港のマンションと比べれば4分の1の値段だそうですし、外国人が1棟買いだってするそうですから。

問題と思うのは、それを横目にみて筆者の娘のような中間層が「パークビレッジ、完売だって~」などと悔しそうな声を出すところにあります。南町田というところはショッピングモールあり、東名インターに近く、さらに三菱地所の大規模テーマパークも近隣に計画されているという場所ではあります。しかし駅から遠い中古マンションは値下がりするのは必定、と思うわけです。

筆者の、地価をめぐる違和感の理由を探してみました。すると。内閣府が2月15日に発表した 2023年10~12月期四半期別GDP速報 (1次速報値)の中、国内需要の中の「民間住宅」がマイナス4.0%なのです。あ~、これか、と思いました。都内中間層はもとより、地方都市に至るまで不動産価格バブルが波及しているのに対して、民間住宅需要全体は不調であることを示しています。低金利といえど、実質賃金はずっとマイナスで、値段は高騰、ですもの、全体としてはマイナスとなるのが自然だと思います。

幼児のいる娘には「駅から遠いマンションは値下がりするよ、待っときな」と伝えています。

 

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経験に基づく投資の話 その⑲ 「AIバブル」と呼ぼう  History doesn’t repeat itself, but it does rhyme. 歴史は繰り返すのではない、韻を踏むのだ

7か月ぶりの投稿です。あるNPOの事務局に再就職しておりました。週3日の18時間勤務、そこから先はボランティアね、ということでした。ところが人手不足によりまして、12連勤のあと2日休んで19連勤なんていう状況で、ブログどころではなかったのでございます。

さてタイトルの「韻を踏む」と言ったのはマーク・トウェインです。たしかにそっくり繰り返すわけではないですね。

私のような古い人間は今、1995年Windows95に始まったITバブル(ドットコム・バブルとも云われた)を思い出しています。特に筆者は現役時代、相当、ITバブルを踊りまくった経験があるのです。

さて今、韻を踏んでいるのは「AIバブル」ですね。もうすでに皆さま、うまいことやっていらっしゃると思います。「いやこれからだ」、でも全然間に合うと思います。前回ITバブルはWindows95から始まって、98で大ブームになり、2000年までの5年間続きました。

今回のAIバブルは去年からです。オープンAIがChatGPTを公開したのは2022年11月30日のことです。目指すのは人類全体に利益をもたらす汎用人工知能を普及・発展させること、ですよ! 美味しいのは(加速するのは)これからだと思っています。

1995年からのインターネットブームは何故バブルに至ったのかというと、振り返ってみれば。労働生産性が高まったことによると考えています。当時、調べ物をするとき「ググれ」と言われるようになったことが象徴だと思います。

今回は、AIが労働生産性を高めることになると考えています。GAFAMの決算はいずれも増収増益でしたが、各社は人員削減を続けています。理由は2.5個あります。1つはコロナで、ネットサービスやPCの需要急増により人員を急増させた後の雇用調整。2つ目はAIへの超積極的投資に伴い、コスト削減が必要となったこと、後の0.5個はコスト削減のなかでも、高い報酬を求められる人の労働をAIが肩代わりするようになったことです。

AAPLは少なくともこの15年で初めて従業員数が減少しました。大手5社は21年~22年のピークから合計で約11万2000人を削減しました。グーグルのスンダー・ピチャイCEOは「投資の余力を生み出すために厳しい選択をせざるを得ない」として今年も削減を宣言しています。

例えばですけれど、スタンフォードを出てグーグルに就職する、といった世界のサラリーマンヒエラルキー(階層)のTop of the Topが、AIにとって代わられる図式です。これを筆者は「かつてない労働生産性の高まり」と考えているのです。25年前のネット社会到来とは比較にならない費用削減です。歴史は繰り返さない。韻を踏む。とはこのことでしょう。

ちなみに筆者がAIがらみでポジションを持っているのは以下の通りです。

MSFT NVDA AVGO NET S DUOL 

ETFでは SMH XLK  この2つは組入れがOKです!

最後にブル相場(上昇相場)で筆者が実行している箴言2つです。

Buy on Dips! 日米共通ですね。日本では「押し目買い」です。

もう1つは「上がる株ほど良く上がる」「(買いたくて)指をくわえている株ほど上がる」 日本の株にはほとんど興味のない筆者ですが、この教訓を身体に刻んだのはキーエンスでした。こればかりは指をくわえるばかりで、乗れませんでした。その教訓で、MSFT、NVDAは以前から持っていましたが、AVGOを買ったのはつい去年暮れです。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。