経験に基づく投資の話 その㉛ イーロンの巨額報酬を機会に、ハイテクと決別

先週末、テスラの株主総会が開かれて、イーロンの巨額報酬が承認されました。
CNBCの報道から、自動翻訳を行いまして、その抜粋です。途中、略していますが、翻訳自体は原文のままです。読みづらくて申し訳ありありません。

テスラ、株主がマスク氏の1兆ドルの給与計画を75%以上が賛成票で承認したと発表 
公開日 Thu, Nov 6 2025午後4時56分(東部標準時)   ローラ・コロドニー  

テスラ株主はイーロン・イーロンマスクCEOの約1兆ドルの給与計画に賛成票を投じ、議決権のある株式の75%が支持したと述べた。  <中略>

すでに世界一の富豪であるマスク氏の給与パッケージは、テスラが一定の利益を達成した場合に付与される12株で構成されているマイルス トーン次の10年間で。また、マスク氏には会社に対する議決権が増大し、要求彼は2024年初頭から公にしている。彼の所有権は約13%から25%に増加し、保有株数は4億2,300万株以上となる。
株式の最初のトランシェは、テスラの時価総額が2兆ドルに達した場合に支払われます。テスラの現在の時価総額は1兆5,400億ドルです。時価総額の増加に関連する賞は、運用上の成果と組み合わされます。
テスラの価値が5,000億ドルずつ増加し、最大6兆5,000億ドルになった場合、次の9つのトランシェが授与される。時価総額が1兆ドルずつ上昇した場合、マスク氏は最後の2つのトランシェを稼ぐことになるが、マスク氏が完全なパッケージを手に入れるには8兆5,000億ドルに達する必要があることになる。  <中略>

新たに承認された給与プランに関連するその他の目標には、2,000万台の車両納入、1,000万台のアクティブなFSD(完全自動運転)サブスクリプション、100万台のボット(オプティマスヒューマノイドロボット)の納入、100万台のロボタクシーの商業運転が含まれます。9月の委任勧誘状によると、テスラはこれまでに800万台以上の車両を納入した。

会合でマスク氏は、オプティマスロボットは「貧困をなくす」、「すべての人に素晴らしい医療を提供する」、そして「携帯電話よりも大きく、何よりも大きい」と主張した。同氏はまた、ロボットは犯罪者を尾行し、「犯罪を行わない」のを阻止することで「将来の犯罪の封じ込め」に使用できる可能性があると述べた。

新たに承認された給与計画はマスク氏の政治活動に制限を設けておらず、テスラで働かなければならない最低時間も定めていない。  <後略>

要は今から時価総額で5.5倍にすること、そのためにも2000万台の車両納入、1000万台のフルセルフドライビングのサブスク、100万台の人間型ロボット、100万台のロボタクシーが必要とのことです。

さらにGrokによれば「地球上の誰もが、自分のパーソナルR2-D2やC3POを欲しがるはずだ」「外科医の置き換え、世界の貧困撲滅、経済秩序の再構築を可能にする」「テスラの車事業を超える規模になる」
「Roadsterの2026年4月1日公開と生産開始を発表(生産は12-18ヶ月後)」だそうです。

とはいえ、報酬1兆ドルはハンパなく、これはひょっとしたらmemorial(記念碑)になるかもしれない、なっちゃって欲しくはないけど・・・ と思いまして、TSLAのほとんどを売却することにしました。
わずかに残したのはテレビで見た映像でのイーロンの言葉です。
「テスラの株主は絶対売ってはいけない」
今までイーロンの言葉を信じ続け、Xでもフォローしてきた筆者としては・・後ろ髪をひかれちゃったわけです。

そしてこの機会に、確定拠出年金の半分残したキャピタル世界株式を全額、定期にスイッチングしました。組入上位がハイテクばかりなんです。全体としてのハイテク比率は30%強と高すぎはしないとおもうんですけど。
正確にはビッグテックが上がったので、結果、比率が高くなったのだと思います。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その㉚ ポートフォリオを更に縮小

前回、「桐一葉 落ちて天下の秋を知る」とお話しました。
前回時点では確信とまではなかったのですが、だんだんホントな気がしてきました。

過去のFFレートの推移です。
Windows95から始まったITバブルは、FFレートが2000年に6.5%まで上がって終了しました。
ITバブル崩壊と2001年9.11もあり、FFレートは1%まで低下しました。

その低金利が住宅バブルを惹起したのです。
金利は5.25%まで上がりましたが効き目はなく、リーマンショックによりまして、なんと0%まで引き下げられました。それはQEを伴って7年以上続きました。

QEを終了させ、金利は2.25%まで上がったところで、2020年COVID-19により、再びゼロ金利にして景気刺激を行いました。

2022年から利上げを始めましたが、2023年には40年ぶりのインフレとなりFFレートは5.25%まで引き上げられました。
現在は緩和局面にあります。

新型コロナは世界各国で景気刺激策を打ち出させました。
世界中で財政赤字が拡大したのでした。

そこに第2期トランプ大統領の誕生です。
「高率関税をかけるぞ、いやなら米国に投資しろ」と迫ったわけです。
新型コロナ以来の、世界中のお金ジャブジャブ状態に加えて、さらにアメリカにお金を集める政策です。
エミン・ユルマズ氏の表現で「エブリシング・バブル」です。

当時のエミン氏がどこまで意識なさったかはわかりませんが、現在起きていることは、ドルの代替資産であるCryptoGOLDAI投資とその電力を作る原発量子コンピュータ、などへの資金集中です。

なかでも循環取引または花見酒としか思えぬAI投資は危ういと思いましたし、クリプトや金への資金逃避(みんなが逃避したら、それもバブルを形成してしまう)はとにかく流動性が背景ですから、それが無くなると大変なことになります。

その兆しは前回のお話に書いた米地銀の不安に見られます。

これらを考えあわせ、ヘンデル保有の (バリック・マイニング)、NEM(ニューモント)、CCJ(カメコ)、NEE(ネクステラ・エナジー)を売却します。
いずれも2倍近いか、2倍を大きく超える値上がりです。
金とウラン、電力ですから、ここにきての値上がりはAI関連株に勝るとも劣らぬものでした。
でも、ここで売却します。

ヘンデルのポートで残るのは日本株とキャピタル世界株、アメリカ以外の株式(DB、インドなど)とLMTなど防衛、バイオ株、資源株、その他です。
つまりは米国以外と米国内のディフェンシブの低PER、ということでサッパリしました。 ・・あとTSLAがありました。。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その㉙ 桐一葉 落ちて天下の秋を知る

淮南子(えなんじ)に、この言葉の原典はあるそうです。
片桐且元が詠んだとも伝えられます。
そして立花証券元社長の石井久さん、ペンネーム“独眼流”がスターリン暴落を予言したとき「桐一葉 落ちて天下の秋を知る」と言ったと聞いています。

1990年の日本のバブル崩壊をド真ん中で体験し、2000年ITバブルを踊りを踊ったうえでお客様と逃げ切り、2008年のリーマンショックにも対処してきた(エラソでスマソ)筆者が今、桐一葉かもしれん、と思っていることを(もはや多くの人が語っていますが)筆者なりに書き留めておきます。

NVDAとOpenAIは9月22日、1,000億ドルの資本業務提携に合意しました。
OpenAIはNVDAの半導体を使ってAI用のデータセンターを構築するそうです。

CEOのジェンスン・ファンは理屈をこねてますが、ヘンデルに言わせれば、これはベンダーファイナンスです。

かつてCSCO(シスコ)、NT(ノーテル)、LU(ルーセント)がITバブル時に行ったことで、後ろの2社はもう存在しません。
昔は「光ファイバーは腐らない」ことを弱点のように言っていましたが、今回はGPUって数年かからず陳腐化してしまいます。するとさらにファイナンスが必要となり、際限のないループに入ります。

さらに。
ORCL(オラクル)とOpenAIで、今後5年間で3,000億ドルのデータセンター投資を行うそうです。
この合意でORCLは1日で36%上昇し、ラリー・エリソンの資産はイーロンを抜きました。ORCLはこの高い株価を担保に銀行から借り入れを起こし、借りたお金でNVDAのGPUを買います。
NVDAはGPUが売れたお金でOpenAIに投資します。
おカネを手に入れたOpenAIはNVDAとORCLにデータセンターの代金を支払います。
(以上はヘンデルの理解ですので間違ってたらホントごめんなさい)

株価を釣り上げて、それを担保に資金調達して、お友達の間でお金がグルグル回っている構図です。
笠信太郎の「花見酒の経済」を思い出してならないのです。
(「花見酒の経済」をご存じない方は是非、検索してください)

そして、このスケール感はサブプライムローンと同規模です。

そこにもってきて、サブプライム向け自動車ローンのトライカラーが破綻しました。
自動車部品メーカーのファーストブランズがインボイスファクタリングの多用で破綻しました。こちらの債務総額は100億ドル以上と報じられています。

米国のクレジット市場がおかしくなっています。

さらにもっと細かい話で・・・
日本でも。
AIビジネスのオルツが上場廃止になりました。「循環取引」による粉飾決算です。

<桐一葉 落ちて天下の秋を知る>

日本のバブル当時、〇〇〇銀行は街の不動産屋に、①支店長決済で3000万を貸し、②貸した3000万で自行の株を買わせ(これが掛け目100%)、③自行株を担保に3000万の定期預金をさせ、④その定期を担保にお金を貸して、ヘンデルの証券会社に持ってきて投信を買い、⑤その投信を担保に、その5割借りて投信を買う、⑥2階建てをさらに3階建てにする ・・・なんて極悪非道な荒業をやっていました。
これがどこかで逆回転が起きた時、信用収縮はとんでもないことになります。
金額は小さいけれど、これが、こんなデタラメが、ヘンデルが体験した「バブル」でした。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その㉘ TACOトレードを考える

半年ぶりの更新です。高市さんの首相就任にあたり、書いておきたいことがありまして、再開しました。
まずこの半年のヘンデルの投資行動を振り返っておきます。

半年前、トランプ関税による世界の株式急落のなか、独メルツ首相にシビれてDB(ドイチェバンク)を買うとお話しました。あの日以来、直近では約2倍の投資成果になっています。

トランプ大統領の政策に筆者の思考は振り回され、また過去の経験による米AI株の割高感にさいなまれ、TACOトレード(Trump Always Chickens Outトレード:トラ様の強硬な政策が出て株が下がっても、すぐその政策は緩和されるので株は戻る、これを使った取引)に嫌気して・・・    AI関連株を決済しました。

ETFを含むハイテク株を、TSLAを除き売却しました。運用資産の半分を占める確定拠出のキャピタル世界株ファンド(←これがハイテクの組入が多いんです)の半分を定期にスイッチングしました。

我ながら笑っちゃったのが、売却に伴う譲渡益税があまりに大きく、(確定拠出年金は運用中は非課税ですが)時価評価で管理している筆者の金融資産が、オイオイというほどに減ってしまったことでした。

そりゃ、SMH(フィラデルフィア半導体指数連動ETF)が7倍とかになっているわけです。その利益の2割が税金ですから、無視できないどころかショックを受けるほど持って行かれたわけです。
長期投資を旨とする筆者にとっては初めての体験でした。何年も持っていたMSFTとも、NVDAとも、その他ハイテクと、決別しました。

ハイテクは売却後も上昇を続けていますが(残念)、結構、それどころじゃない短期値上がり群を保有していました。。
GOLDの値上がりの、それを上回るパフォーマンスの金鉱株です。

GLD(金ETF)、NEM(ニューモント)、B(バリック)の1年間の比較チャートです。
米国がゴールドリザーブの再評価するとの噂、ドイツや各国中銀がお札をバリバリ印刷する方向、BOEで取り付け騒ぎ、終わらない戦争、そしてなにより世界的なインフレ(懸念も含め)・・  金の値上がりは続きそうです。

ヘンデルが若いころ、「金を掘ってる株は金現物よりもよく上がるし下がるんだ」と散々習ってきました。それもそのはず、仮に採掘コストが1,000ドルで金価格が1,100ドルだとします。1,100ドルの金価格が1,200ドルになったら、金鉱株の粗利はザックリ2倍になる勘定です。

金は配当がでないし、好決算もありません。源泉分離課税もありません。なので株屋としては金現物も、金鉱株も、お客様に案内することがありませんでした。(大昔の住友金属鉱山:通称“別子”、三井金属鉱山“神岡”はやりました)

しかし今。上記のような情勢でして、1年近く前から今年の春にかけて、NEMニューモント、Bバリックマイニングがどうにも割安に見えて、買ってきました。
未だ現物にくらべ、水準は割安に見えます。

さて、今日の話題です。
TACOトレードのTは「TAKAICHI」です。
今日(10月6日)の日経平均は48,039円の2,269円高です。この大幅高はショートスクイーズの結果でしょう。
為替は円売りが進行、150円を突破してしまいました。

物価高対策が最優先課題なのに、最も物価を上げる人物が首相になります。
積極財政は財政悪化、お金バラマキはインフレへ、国民の生活は困窮化に拍車をかけ、債券増発は金利上昇、債券売りは円安進行。円安はさらに輸入インフレに跳ね返ることになります。

金利を下げて景気を刺激して、供給を増やせば物価は下がる・・・これってトルコのエルドアンさんの理屈です。
金利を上げずにインフレを放置し、トルコリラ安にしたトルコって株式は上がったんですよ。5年で11倍!です。でもトルコリラは45円前後が3円台に1/12、perplexityによればビッグマックは9.5倍です。 ・・・なんか整合的です。。

高市さんの理屈は金利を上げず景気を刺激すれば企業が儲かり、賃金が上がる、そしたら暮らしは楽にになる、ということ・・・らしいです。
あんま、変わらん気がします。「金利をいま上げるのはアホやと思う」だそうでしたし。なので日経平均は上がるでしょ。

経済政策には金融政策と財政政策が両輪であり、成長戦略をくわえて三つしかありません。

金融政策はアベノミクスでアクセルを床まで踏み込みました。
しかしデフレ退治の役には立ちませんでした。無駄に燃料、つまり存在した金利を、使い果たしただけでした。

財政は政府債務を積み上げ、いずれ来る限界をさらに手繰り寄せています。

成長戦略はこの四半世紀ほど唱えられ、トライしてきた結果が、現状です。

これらが、ヘンデルが日本に呆れはて、資産を海外に移している由縁です。

減税や補助金でお金をバラまけば一時的に生活はラクになります。しかし財政悪化、円の希薄化、それによる円安、結果として輸入インフレを招いてしまいます。

過去あれほど憎んだ円高、つまり通貨高で、つぶれた国はなかったのです。
今、経済の運営も個人の暮らしも輸入に頼る日本には、通貨安が致命傷になるのです。

高市さんは「働いて働いて働いて、働きぬく」と語りましたが、彼女が働けば働くほど、日本は物価高、金利高、円安が進むことになります。働かないでもらいたいと思います。
彼女の経済顧問はアベノミクスのリフレ派の中心だった本田悦朗さんです。サナエノミクスというより実はアベノミクス2.0、と呼ぶ方がふさわしいかもしれません。

でも、アベノミクスのスタート時、日経平均は8,000円台、円ドルは80円台でした。
現在の日経平均45,000円、円ドル140円台からのスタートで同じ政策ではどうなるものか、と思います。

高市さんが敬愛するサッチャーさんは、社会保障削減など小さな政府を目指しました。
「保守で女性」は同じですが、積極財政の高市さんとは180度違います。

高市さんはTACO、タコるべきでしょう。
トランプにはお目付け役のベッセントさんがいます。だからタコるのです。(だと思います)タコれるのです。
高市さんにはベッセントさんがいません。
心配です。


※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

経験に基づく投資の話 その㉗ トランプ関税を考える(ヘンデルのアタマ整理用)

トランプ関税について、自分のアタマの整理用に、ゼロから考えてみます。(認識不足による変な誤解、誤りがないよう努めます)

日本がアメリカに輸出する自動車には、今までの関税率に加えて25%が上乗せされます。
これって結構、本邦自動車メーカーは乗り切れちゃうんじゃないでしょうか。

アメリカから見たら、1.25倍の値段になることになります。
日本で言えば、今日500万円のアメ車が明日から625万円になりますよ、という勘定です。

この「関税25%」ということは、筆者が以前に書きましたけれど、日本の自動車メーカーにとって、150円だった為替が25%円高の120円になるのと同じ効果です。
これって、本邦企業はこのくらいのことは過去、やってきた、乗り越えてきたんじゃないの、と思う次第です。

振返ってみればアベノミクスが始まったとき、1ドル80円台でした。2020年のコロナ発生当時のレートは100円トビ台だったのです。
それが去年は160円に達し、今円高だって言っても143円です。
自動車会社の方には誠に申し訳ないのですが、言っちゃあ何ですけれど、濡れ手に粟の4年間だったんじゃない? とも思います。 

こんなことは証券会社の人はレポートに書けないだろーなーと思います。トヨタさんにはお世話にいなってますから。

その他の日本製品は24%の相互関税です。
てことは150円の為替が121円になる換算ですから、歴史ある(100円以上の円高を知っている)たいていの企業は耐えることが可能でしょう。

株価は。
濡れ手に粟がなくなってしまえば、つまり業績は悪化しますから、残念ながら株価はその分、下がるのが当たり前ですね。

日本は、お隣のかの国のように「24%の報復関税だー!」とはなりません。
小麦や大豆の値段が 今のドル円140円×1.24=174円!換算になってしまうからです。

輸出企業が大減益になり、国内インフレが二桁、なんて近未来は想像したくもありません。

4月12日23:07「米国、相互関税からスマホ除外 iPhonene値上がり回避」というニュースが入りました。次のパラグラフはなかったことに修正させてください。
一方でアメリカではiPhoneの買い替えが進んでいるそうです。iPhoneは中国製だか らです。合計145%の関税だとしたら・・ 中国からの輸入品は値段がいきなり2倍を超えるでしょう。
米国内で1000ドルだった製品が2000ドルを超える、一方で日本では1000ドルのままです。「大阪万博ツアーiPhone購入権付き」でインバウンドがさらに増えたりして・・

当面、何か月間かは米国経済指標は好調でしょう。
APPLを含め、米国企業は関税に備えて在庫を目いっぱいにしているに違いないからです。目いっぱい在庫を積み上げた、または駆け込み需要の経済指標がこれからでてきます。

ただ企業決算の来期のガイダンスは期待できません。悲惨なものになる可能性があります。

ところで、ディールの最初の交渉相手に選ばれたのが日本です。
世界で1番、朝飯前の相手、チョロい相手と見込まれたのかもしれません。
「日本はこんなにカードを切りまくったぞ!」と次の他国とのディールの見本になるような交渉を期待して、のことではなかろうかと思う次第です。

トランプ関税の負の効果はいっぱいありますが、プラスの効果はないのでしょうか。
ド素人の門外漢のヘンデルが思いつくまま書きなぐります。

コメです。
農林水産省とJAの旧態依然とした関係、備蓄米を放出してもなお値上がりする状態に結果としてメスが入るでしょう。
筆者はコメ農家に影響がでることは望みません。
しかし今回のディールの日本側の有効なカードはコメでしょう。
牛丼チェーンや回転ずしの会社は潤うことになる・・潤うほどになるまでカリフォルニア米を輸入したら良い、と思います。

ライドシェアやロボタクシーのアメ車輸入などの規制緩和も重要なカードの1つでしょう。
ライドシェアが何故進まないのか、詳しくありませんが、タクシー業界には打撃でも、特に地方の運転免許証を返納した老人には朗報となるかもしれません。
さらに、役所にテスラ車購入を義務付けたりして。(それはないか・・)

過去も、これからも、外圧こそ日本が変わるチャンスです。(外圧でしか変われない)

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その㉖ 投資対象先もパラダイムシフトかもしれない

4月4日SP500は5074Pとなり、トランプさんの関税率発表からの2日間で、終値ベースで596P安となりました。
2月19日終値ベース高値6144Pからは下落率17.4%、弱気相場入り目前です。
NASDAQは下落率22.2%と、すでにベア・マーケット入りになりました。

そんな中、ある友人からLINEが来ました。
「VIXが30を超えたらSP500を買う!の自分ルールの発動です」

(VIX指数とはS&P 500のオプション取引の30日のインプライド・ボラティリティを元に算出するもので、日本では恐怖指数とも呼ばれます。 ←オプションて何? インプライドボラティリティって何? それは「テレビの箱の中身はわからなくても、スイッチ付ければ楽しめるよね」と同じということにしておいてください)

昨日、VIX指数は45.31でした。
VIXはリーマンの時が79、コロナの時で65、ってくらいで40超えはめったにありません。
GOOGLで検索しました。

滅多にないどころか、見たこともないのがFear & Greed Index(恐怖と欲望指数)です。それがExtreme Fearの領域、それもただの「4」という水準です。

 CNNサイトからです。

さらに。プットコールレシオが「1」を超えました。
プットコールレシオとはプットの取引量をコールの取引量で割ったもので、通常は強気の人が多いですから、0.6~0.8程度のところでウロウロしているものです。
プットを買う人の方が多くなっちゃった! てことです。

以上の3点をもちまして、4日(金)時点で投資家は震えあがった、金〇が縮み上がった、と判断します。

なので冒頭の友人の意見は悪くない、と思うのですが、投資対象にひと捻り加えてはいかがかと筆者は思うのです。

トラの関税率にはスコット・ベッセント財務長官がついています。スコット・ベッセントは、かのジョージ・ソロスのもとポンド危機を主導した人物として知られます。その後、自らヘッジファンドを主宰していました。

ベッセントは関税収益を減税措置の財源として活用することを構想しました。チップや社会保障給付金課税撤廃を優先し、これらを経済成長の起爆剤と位置付けています。
相手国の非関税障壁撤廃や補助金中止を条件に関税を免除する「交渉カード」の活用も提言しています。
「攻めの関税」と「守りの減税」、「減税による経済成長で税収増」の組み合わせは、素人の筆者ヘンデルにして、出来たらもの凄いことだよね、と思えます。
日本のいわゆる「頭の良い人たち」の感覚とはちょっと違うかも、です。

パウエルFRB議長によるパウエルプット(利下げ)も今は様子見です。

そこで、「米国は当分しんどい」として、歴史を振り返ります。
History doesn’t repeat itself, but it often rhymes.
歴史は繰り返すのではないが、よく韻を踏む。 マーク・トウェイン

去年の2月でしたか、AIバブルがやってきた、として本ブログで取り上げました。
筆者ヘンデルも踊りを踊りました。
今回は早くも、バブル終焉とその後を想像しています。

2000年にITバブルが崩壊しました。
その翌年、ゴールドマン・サックスのジム・オニールが「BRICs」を提唱しました。
ITバブル崩壊のアメリカに代わって、ブラジル、ロシア、インド、中国(のちに南アが大文字S、として加わります)が人口規模、経済成長率、資源の豊富さなどを背景に、新興国への投資ブームが巻き起こりました。
このブームは2010年代まで続いたのです。

つまり、今は、AIバブル崩壊のアメリカからフロンティアに乗り出すときが来たのではないかと思っているのです。

歴史は繰り返す、として、過去の経験をお話します。
前回のITバブル崩壊のあとは10年以上、ハイテクにはペンペン草も生えない状態が続きました。目立つところや、美味しいところは全部食べちゃったってことです。

そして現在です。
米国、中国に代わる投資先、それも成長マーケットとしては・・ 
復興需要のウクライナ、お隣のポーランドなんでしょうけれど、ADRで買える銘柄は多くありません。

そこで・・ 憲法改正までして、米国だのみNATO体制から脱却し、インフラ投資に舵を切った、ドイツに注目しています。詳しくは「経験に基づく投資の話その㉕ パラダイムシフト・・かもしれない 其の2」 をご参照ください。

 

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経験に基づく投資の話 その㉕ パラダイムシフト・・ かもしれない 其の2

1990年に日本のバブル崩壊が始まり、そのドン底は1997年山一倒産、そしてその前後の銀行、保険、証券、建設その他の老舗企業の破綻でした。

同時期にアジア通貨危機、ロシア破綻もありました。
アメリカ以外、世界中がダメダメだったのです。

その頃、アメリカではインターネットブーム、ITバブルに沸いていました。
まだマウスのないPC9800ユーザーだった筆者は、APPLのマウスに驚き、フロッピーからCDROMへの変化にたまげ、インターネットに腰を抜かしたものでした。

当時自分は職業柄、投資は行っておらず、お客様には米国株で相当、踊りを踊っていただきました。「Wintelco(ウィンテルコ:Windows-Intel-cisco)トライアングル時代」とアメリカで言われた時代でした。

あの頃以来、筆者は日本株式とは縁を切っていたのです。
その後20年以上、お客様に個別日本株をお勧めすることはありませんでした。

栄華を誇った米国ITバブルが崩壊したのはY2K問題が理由でした。
2000年になると、古いコンピュータは00年と誤作動してしまうと心配され、1999年には、もの凄い設備更新が行われたのでした。
その後、当然ですが買い替え需要は激減、ネット企業は大不況になった、というのが真相です。(と筆者は理解しています)

さて現在のAIをめぐる状況です。
ちょっと前までは。 生産性が上がる、人が(優秀な人ほど)いらなくなる、でも膨大な設備投資が要る、というのが常識でした。

ところが、中国製DeepSeekの発表で、ホントかどうか、560万ドルで出来ちゃったってことになりました。スプートニクショックとも呼ばれました。

一方で、トラさんは関税を手段として世界を不況に突き落としそうな勢いです。
不況は株式にとって、金利の上昇よりも痛手になります。そりゃそうで、株価の命綱、業績が悪くなるのですから。

ついでにトラは「自分の身は自分で守れ」と言っています。
これって至極当たり前のことだと筆者は思います。

そこで! ドイツが反応しました。
時あたかも新首相になることが決まっているCDU党首メルツさんが3月15日、BBCの伝えるところによると

Germany is back, says Merz after historic spending deal

※歴史的歳出合意ののちに、メルツはドイツは復活したと語った。

これには筆者はシビれました。
トランプさんが3月4日施政方針演説の冒頭で「America  is Back」と言ってニヤリと笑ったのを受けてのことか、どうかはわかりません。(限られたTV番組しか見ないので、日本で報道があったか、どうかさえも筆者は知りません)

緑の党が憲法改正に賛成する(条件付き)と決まって、5,000億ユーロ(約80兆円)の軍事費増額、5,000億ユーロ相当のインフラ投資が実現に向けて大きく前進したのです。それを受けての「Germany is Back 」でした。

今晩投票にかけられます。
筆者は「決算を見てから、上がったところを買いに行く」を実践したきたのですが、メルツさんのGermany is Backにシビれてしまって、ドイツに投資しようと思っている半分の金額を昨日、買い付けました。

ALV(アリアンツ保険:フランクフルト)は実はフライングで3月初めに買ってました。

昨日はEWG(MSCIドイツETF:NYSE)を買付け、息子に将来渡す投信積立で日興さんのインデックスDAX(ドイツ株式)を始めました。日興さんの投信は残高が34億円しかないのが気がかりですが、インデックスファンドだし、ということで「マ、イッカ」と思っています。(ドイツの投信ってヘッジ無しは多分、他にないんです)

約30年にわたって米株と米ドル1本だった筆者がついに、欧州(ドイツとユーロ)を始めました。

ちなみに筆者が保有している米国の低PER株は ADM(下がってる)、DE、GD、LMT、IBB、NEE、NEM、GOLD、CCJ、 XLE、BA、 などなど、他にわずかな日本株、インドETFとベトナムETF、最後にこれが重要なのですが金融資産の半分は某外国株投信です。 

引退して年金生活なのに、住宅ローンも残っているのに・・・ 
(住宅ローンは年1.06%の固定金利だから、あえて借りたまんまで運用にまわしているのですけれど)
リスク取り過ぎなのは承知しています。。。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

経験に基づく投資の話 その㉕ パラダイムシフト・・ かもしれない 其の1

ご無沙汰しました。久しぶりに投資の話です。
去年の暮れから昨日まで、私のポートフォリオには大きな変化がありました。

昨年夏より米国10年国債利回りが上昇し始めました。
昨年9月に3.5%程度だったのが、今年1月には4.8%に達しました。

その間には大統領選挙がありました。
ご承知のとおりトランプさんが勝って、バラマキが始まりそう、それじゃインフレは収まらないよね、だったら金利は上がるよね、という当時の見通しでした。

「高PER株は金利に弱い」 これは投資の基本(キホン)の「ホ」程度だとは思いますが、筆者には骨の髄まで浸み込んでいるのです。
今年1月当時、10年債が5%になったら、と云いたいところでしたが「アタマとシッポはくれてやれ」なんてのは今だから言えるタテマエで、実は心配でしょうがなくて、その手前の4.5%になったのを機会に「高PER株」≒(nearly equal)「AI銘柄」をバッサリ売却してしまったのでありました。

保有のAI関連株はNVDAはもちろん、TSM、PYPL、からGOOG、MSFTにいたるまで思い切って売却してしまいました。ハイテクで残したのは10年近く保有しているSMH(フィラデルフィア半導体指数連動ETF)と数年保有のTSLAだけです。

売却してみると(大儲けだったこともあり)もの凄くホッとした感覚を、初めて味わいました。
ご存じの通り、筆者は長期投資を旨としています。
過去、決算が悪くて売った株はありましたが、そうでない売却(いわゆる利喰い)は、ほぼしたことがなかったのです。

売却後NVDAは3日間上昇して、今にして分かりましたが、そこが最高値ということになりました。

なぜなら、筆者の売却後10日にして DeepSeek Shock が発生したからでありました。

世界は去年の春・夏にはAIブームに酔っていました。
30年前のWindows95に始まるインターネット相場、いわゆるITバブル以来の大変化だと思っていたのです。
あの当時、労働生産性が急上昇しました。エクセル、ワード、電子メール、データ保存デバイスなどで、仕事場と仕事内容が一変しました。

今、AIの登場によって、再び労働生産性のもの凄い上昇が見込まれています。
スタンフォードを出て、グーグルに入社して、なんていうサラリーマンヒエラルキーのTop of The Top の人たちがいらなくなる時代が来ているのです。IT企業では何万人という解雇が行われました。

そこに! そこにDeepSeekです!
スプートニクショックの再来というヘッドラインもありました。

一方でトランプさんです。
「アメリカは世界のお巡りさんを辞める!」と宣言したに等しい行動です。
同時に、関税を使って、世界同時不況に陥る危険を冒しています。

これを、このアメリカの変化を、筆者ヘンデルは表題の通りパラダイムシフトの可能性、と思っているのです。

さて、現在CASH比率の高い筆者は昨日から買付を始めました。
何を買ったか、 それは次回に。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その㉔ 2024年8月月初の世界株価暴落 Ⅱ)歴史に学ぶ投資戦略

8月5日の日経平均の下落はブラックマンデー(1987年10月19日)よりも下げ幅が大きかったそうです。下げ率では少々足りませんでした。

筆者が体験した暴落は1987年ブラックマンデー、1990年日本のバブル崩壊、2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2020年コロナショック、そして今回の日銀ショックです。

支店でリテール営業を35年やってきた、つまりは本社情報系の部署には縁のなかった(要は頭脳労働には向いていないと評価されていた)筆者の感覚で言うと、暴落には2種類ある、と思っています。

景気循環とそれを増幅する金融政策のミス、避けようのないミスによるもの。

もう一つは、金融システムの崩壊、崩壊危機によるものです。

金融システム危機の方から紹介しますと、古くは日本のバブル崩壊の時です。1990年の不動産融資の総量規制に端を発した株価の崩壊は、1997年、1998年の銀行・証券・保険会社の破綻まで続く、長く苦しい下落局面でした。

2008年のリーマンショックはCollateralized Loan Obligation(サブプライムローン=信用の低い人向け住宅ローンを寄せ集めて、AAA債からメザニン債、エクイティに仕立て直す、短時間では説明できないややこしい金融商品)に先進国主要銀行すべてが騙され、阿波踊りを踊った結果のショックでした。(同じ阿呆なら踊らにゃ損損・・・ ホントに損しちゃった)

この2件については筆者のみならず、金融の真実、深淵を知る者、知ろうとする者には奈落の底に引きずり込まれる恐怖だったのです。お金を預け、取引決済する銀行が信用できない世界です。社会として、どれだけ恐ろしいことかご想像ください。

お話は戻ってブラックマンデー、ITバブル崩壊、そして今回の日銀ショックです。(コロナ由来だと思っています) これらは景気循環を増幅する避けようのない金融政策のミスに起因していると思っています。

まずブラックマンデーです。80年代、米国は双子の赤字(財政赤字、貿易赤字です。懐かし~! 当時筆者は本気でアメリカが破綻する心配をしていました)に悩まされ、ドル安もあってインフレの恐怖で金利を上げていました。そこに持ってきて、西ドイツ(当時)がブンデスバンク伝統の「景気を殺してもインフレ退治」と噂されたほどのタカ派政策で、空気を読まない金利引き上げを行ったものですから、暴落の引き金を引きました。
さらに、コンピュータ売買のハシリ、と今にして思うのが当時「プログラム売買」と呼ばれた、下がってくると自動で売りを出すシステムでした。売りが売りを呼ぶ、恐ろしい下げっぷりでした。

ITバブルの序章は1996年にグリーンスパンという「マエストロ」とも呼ばれたFRB議長が「根拠なき熱狂」と表現したことに始まります。ITバブルはFRBがFFレートを上げても上げても株価上昇は止まらす、6%以上まで引き上げられました。2000年、業績の悪化をきっかけに、ついに株価は急落、2001年には利下げに転じ、エンロン破綻にいたってITバブルは終了しました。

そして今回のガラです。頭の良い先生方がいずれ解説すると思いますが、コロナに対して、世界中の中央銀行が現金をバラまいたこと、公的・民間を問わず信用を供与したこと(お金を貸したこと)、まして日本ではアベノミクスの号令のもとデフレ脱却にあらゆる手を打ったところに更にお金を撒いた(国民お一人10万円とか)わけですから、そりゃ日経平均40,000円にもなるわね、てなものでした。 
これまたコロナという中央銀行では制御できない要因が働いたと考えられます。

つまりは金融危機を伴わないガラは回復が早いことをお伝えしたいのです。ただ、日経平均もSP500も日柄整理、値幅整理とも足りません。買い出動はまだです。

日経平均で言えば週足一目均衡表でクモの下限を下抜けちゃったし、2020年3月と2023年1月の安値を結ぶサポートラインは31,000円どころにいるのですが、その1/2押しが29,555円と大台割れのところです。

アメリカに至ってはNYダウ、SP500、NASDAQとも、最近の値上がりが大きく、下げもたいしたことなく(TVで「10%さがるとコレクション(調整)だ」と言っていましたが、筆者の常識では20%下げです)トレンドラインを引っ張っても、まだ役に立ちません。 ・・・つまり、たいしたことないってことです。

VIXという指数があります。CBOE:米シカゴ・オプション取引所が計算している、SP500 のオプション取引のインプライドボラティリティです。投資家心理を表し、数値が高いほど先行き不透明感を表します。これが8月5日には瞬間65を超え、コロナ以来の高水準になりました。その後今朝には落ち着いてきて29.12です。
ただ、痛いのはスポットのVIXより、VIX先物です。これがバックワーデーションを起こしているそうです。これは先行き不安定、下落相場を示唆します。(バックワーデーション、コンタンゴについての説明は今日のところはパスさせてください)2020年2月にはバックワーデーションが52日も続いたそうです。コンタンゴに戻ると、その後大きく上昇しました。

8月はひとまず収まるかもしれません。しかし9月は中東地政学リスク、大統領選の不透明さ、景気後退リスク、と株式市場にとって、いいところがありません。

株式市場は不透明感を嫌います。
8月22日~24日開催のジャクソンホールシンポジウム、9月FOMCでの利下げ(0.25なのか0.5なのか)、が終わって11月5日大統領選、このあたりまでデコボコすることを予想します。
その後は毎年のアノマリー(説明不能な季節変動要因)通り、年末年始の株高に向かっていくと予想します。

なので調整(下落)期間は短く、3か月ほどかと思います。
新NISAで積み立てをやってる人には「チャンス!」と思って継続をお勧めします。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

 

 

 

 

経験に基づく投資の話 その㉓ 2024年8月月初の世界株価暴落 Ⅰ)何があったのか 

日経平均は、1987年のブラックマンデーを超える下げ幅を記録しました。ブラックマンデーをその時、現場で知る者として、当時の記憶と現在を比べてみたいと思います。

 

 

8月1日日経平均は975円安の38,126円となりました。円ドルが148円台に円高になったのが原因です。

その前日7月31日、日銀植田総裁は0.25%への利上げを発表しました。2016年1月マイナス金利スタート以来の「金利ある世界」が始まるのです。さらに引き続き金利を上げる可能性も示しました。

日本株の上昇要因のほどんどは今も昔も「円安」です。日本がついに利上げし、さらに上げる方向となると、日米金利差が縮小するということです。ましてアメリカは反対方向の「利下げ」が期待されているのです。株式市場では。

植田総裁タカ派転換をみて、筆者は「こりゃ相当、ヤバいんじゃね?」と思いました。日本の利上げこそが、ここ数年の世界株高に対する心配事項のイの一番だと思っていたのです。

何が正しいかなんてわからないのですが、筆者としては、去年の暮あたりから少~しっつ、リークもしつつ、株安の痛みに耐えつつ、引き締めへの階段を1㎝ずつ登るべきだったと思うのです。米国との対比で、今となっては遅すぎました。

たぶん世界株高を支えている「円キャリートレード」の終焉、unwind、巻き戻し、つまり「金利ゼロで円を借りてドルを買う、米国株を買う、日本株を買う(ウォーレン・バフェットのように)」という仕組みが逆回転することになるのです。

ゼロ金利解除は、借金返済のために世界の株・投資案件を売却・換金し、得た外貨を円に換える(=円高になる)ことになるのです。

(筆者の個人資産はたまたま6月24日、NVDAが高値を付けた2日後、グラリときた日にNVDAを含めAIがらみ銘柄はすべて「頭とシッポはくれてやれ」とばかりに売却していたのです。結果、これは幸いでした。でもドルのままにしておいたのは残念でした。現在ガチホにしているのは、防衛、薬、資源、インドETF積立などのディフェンシブです。今回の下げで評価額は減りましたけど。例外として、ハイテクで持っているのは、何年も前に買ったTSLAとSMHだけです)

7月31日植田総裁会見の当日夜、米国ではFOMC(連邦公開市場委員会)が行われ、パウエル議長は「9月にも利下げ」と発言しました。FFレート(米政策金利)先物は8月2日には、次回9月24日FOMCでの0.5%利下げ確率は73.5%に達しました。通常は0.25%ずつなので、大幅です。米国はbehind the curve(後手に回る)だと思われます。

8月1日、NASDAQは円キャリートレード解消の影響があったかは不明ですが、405ポイント安(2.3%安)、雇用統計が悪くてガッカリした8月2日は417ポイント安(2.4%安)、週明け8月5日は576ポイント安(3.4%安)の急落でした。金利が下がるのは、株価にはプラス要因なのですけれど。

これは金利を大幅に下げねばならないほど、景気が悪化する見込みであることを嫌気したと思われます。

リセッション(景気後退)のときの株価推移は、SP500指数でみると、1990年湾岸危機のとき-20%、2001年ITバブル崩壊のとき-26%、2008年リーマンショック時-55%、2020年コロナショック時-34%でした。これだけの下落実績なら「リセッションかも」って言われれば「株は売っておこう」になりますね。

米株安を受けてなのか、日本が震源地だからなのか、わかりませんが、日経平均はFOMC結果と植田会見によりまして、8月1日-975円(2.4%安)、8月2日-2,216円(5.8%安)、明けて8月5日-4,451円(12.3%安)という大幅ヤンチャぶりでした。

相当、信用取引で投げが投げを呼んだと思います。バブルの頃と信用取引のルールが変わっています。ネット取引がほとんどですから、証券会社は顧客の面倒は見ない、リスクを取らない、つまり強制決済が即、待っている、追証(追加保証金)を入れても維持率は回復しづらい仕組みなので、ズコバコ強制決済が次々なされる(売却が出る)わけです。

さてここで、今回の世界的ガラ(暴落)の理由を整理してみます。

①7月31日の日銀の利上げ  これから始まりました。国債買い入れの縮小だけでなく、ほんとに0.25利上げしちゃった!(サプライズ!) 日銀は財務省指示で実弾為替介入もしちゃったことだし、「円安によるインフレ」が気になってしかたなかったのでしょう。

②円キャリートレードの巻戻し  これがどれほどの規模で行われていたのかは不明です。 UBSのマルコム氏によればピーク時に少なくとも5000億ドル(70兆円)だそうです。人によっては4兆ドル!(600兆円)と云う人もいます。これは世界の株価のみならず、いろんな投資案件に、相当ショックが走るはずだと思います。

③8月2日の米雇用統計 といっても失業率が4.3%です。筆者の知る限り、歴史的に決して高い水準ではない、どころか十分に低い水準だと思います。金利が5.25%でインフレが3.0%にコントロールされている経済です。すごく良い経済状態だと思うんだけどな~。政策対応余地はいっぱいありますよね。
もちろん株価も、経済政策も「先を見る」ものですから4.3%でも「悪い数字」なんですけどね。 パウエルさんの本音は「こんなことなら7月に利下げ、しとけばよかった」でしょうね。

どうも今回のガラ(暴落)の命名は「日銀ショック」で良いかもしれません。

長くなりました。ブラックマンデーの記憶や経験則、今回の局面の見通しについては次回、といたします。

Ⅱ)投資戦略 につづく

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。