8月5日の日経平均の下落はブラックマンデー(1987年10月19日)よりも下げ幅が大きかったそうです。下げ率では少々足りませんでした。
筆者が体験した暴落は1987年ブラックマンデー、1990年日本のバブル崩壊、2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2020年コロナショック、そして今回の日銀ショックです。
支店でリテール営業を35年やってきた、つまりは本社情報系の部署には縁のなかった(要は頭脳労働には向いていないと評価されていた)筆者の感覚で言うと、暴落には2種類ある、と思っています。
景気循環とそれを増幅する金融政策のミス、避けようのないミスによるもの。
もう一つは、金融システムの崩壊、崩壊危機によるものです。
金融システム危機の方から紹介しますと、古くは日本のバブル崩壊の時です。1990年の不動産融資の総量規制に端を発した株価の崩壊は、1997年、1998年の銀行・証券・保険会社の破綻まで続く、長く苦しい下落局面でした。
2008年のリーマンショックはCollateralized Loan Obligation(サブプライムローン=信用の低い人向け住宅ローンを寄せ集めて、AAA債からメザニン債、エクイティに仕立て直す、短時間では説明できないややこしい金融商品)に先進国主要銀行すべてが騙され、阿波踊りを踊った結果のショックでした。(同じ阿呆なら踊らにゃ損損・・・ ホントに損しちゃった)
この2件については筆者のみならず、金融の真実、深淵を知る者、知ろうとする者には奈落の底に引きずり込まれる恐怖だったのです。お金を預け、取引決済する銀行が信用できない世界です。社会として、どれだけ恐ろしいことかご想像ください。
お話は戻ってブラックマンデー、ITバブル崩壊、そして今回の日銀ショックです。(コロナ由来だと思っています) これらは景気循環を増幅する避けようのない金融政策のミスに起因していると思っています。
まずブラックマンデーです。80年代、米国は双子の赤字(財政赤字、貿易赤字です。懐かし~! 当時筆者は本気でアメリカが破綻する心配をしていました)に悩まされ、ドル安もあってインフレの恐怖で金利を上げていました。そこに持ってきて、西ドイツ(当時)がブンデスバンク伝統の「景気を殺してもインフレ退治」と噂されたほどのタカ派政策で、空気を読まない金利引き上げを行ったものですから、暴落の引き金を引きました。
さらに、コンピュータ売買のハシリ、と今にして思うのが当時「プログラム売買」と呼ばれた、下がってくると自動で売りを出すシステムでした。売りが売りを呼ぶ、恐ろしい下げっぷりでした。
ITバブルの序章は1996年にグリーンスパンという「マエストロ」とも呼ばれたFRB議長が「根拠なき熱狂」と表現したことに始まります。ITバブルはFRBがFFレートを上げても上げても株価上昇は止まらす、6%以上まで引き上げられました。2000年、業績の悪化をきっかけに、ついに株価は急落、2001年には利下げに転じ、エンロン破綻にいたってITバブルは終了しました。
そして今回のガラです。頭の良い先生方がいずれ解説すると思いますが、コロナに対して、世界中の中央銀行が現金をバラまいたこと、公的・民間を問わず信用を供与したこと(お金を貸したこと)、まして日本ではアベノミクスの号令のもとデフレ脱却にあらゆる手を打ったところに更にお金を撒いた(国民お一人10万円とか)わけですから、そりゃ日経平均40,000円にもなるわね、てなものでした。
これまたコロナという中央銀行では制御できない要因が働いたと考えられます。
つまりは金融危機を伴わないガラは回復が早いことをお伝えしたいのです。ただ、日経平均もSP500も日柄整理、値幅整理とも足りません。買い出動はまだです。
日経平均で言えば週足一目均衡表でクモの下限を下抜けちゃったし、2020年3月と2023年1月の安値を結ぶサポートラインは31,000円どころにいるのですが、その1/2押しが29,555円と大台割れのところです。
アメリカに至ってはNYダウ、SP500、NASDAQとも、最近の値上がりが大きく、下げもたいしたことなく(TVで「10%さがるとコレクション(調整)だ」と言っていましたが、筆者の常識では20%下げです)トレンドラインを引っ張っても、まだ役に立ちません。 ・・・つまり、たいしたことないってことです。
VIXという指数があります。CBOE:米シカゴ・オプション取引所が計算している、SP500 のオプション取引のインプライドボラティリティです。投資家心理を表し、数値が高いほど先行き不透明感を表します。これが8月5日には瞬間65を超え、コロナ以来の高水準になりました。その後今朝には落ち着いてきて29.12です。
ただ、痛いのはスポットのVIXより、VIX先物です。これがバックワーデーションを起こしているそうです。これは先行き不安定、下落相場を示唆します。(バックワーデーション、コンタンゴについての説明は今日のところはパスさせてください)2020年2月にはバックワーデーションが52日も続いたそうです。コンタンゴに戻ると、その後大きく上昇しました。
8月はひとまず収まるかもしれません。しかし9月は中東地政学リスク、大統領選の不透明さ、景気後退リスク、と株式市場にとって、いいところがありません。
株式市場は不透明感を嫌います。
8月22日~24日開催のジャクソンホールシンポジウム、9月FOMCでの利下げ(0.25なのか0.5なのか)、が終わって11月5日大統領選、このあたりまでデコボコすることを予想します。
その後は毎年のアノマリー(説明不能な季節変動要因)通り、年末年始の株高に向かっていくと予想します。
なので調整(下落)期間は短く、3か月ほどかと思います。
新NISAで積み立てをやってる人には「チャンス!」と思って継続をお勧めします。
※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。