経験に基づく投資の話 その③ アクティブ型投信はインデックスに勝てない、と思っていませんか?

私の体感的には10数年も前から、FPの先生がたを中心にネットの中で、または活字媒体で「インデックス投信が一番だ。アクティブはダメだ」論が活発になったと思っています。アクティブファンドがなかなかインデックスに勝てないのは事実なのですが、何十年にも渡って勝ち続けているファンドもあるのに、何故だか不思議でなりませんでした。

アクティブファンド否定派の最近の根拠としては SPIVA (S&P Indices Versus Active) だと思います。

2022年6月30日データでJapanese Large CapファンドのうちS&P/TOPIX150をアンダーパフォムしている割合が10年では86.18%なのです。これはアメリカでも同様で、All Lare-CapファンドのうちS&P500をアンダーパフォームしたファンドの割合は10年で90.03%なのです。日米とも10年という期間では、約9割のアクティブ投信がインデックス投信に負けています。

ここ3~4年はGAFAMをいっぱい買っておけばメッチャ好パフォーマンスだったのです。ピーク時はSP500はGAFAM+NTでポートの約半分を占めていました。しかしファンドマネージャーとしては高PERのGAFAMばかりでファンドの半分、買ってしまう、なんて乱暴なことはできなかったと思われます。しかし一昨年まではGAFAMばかりが上がり続け、指数は上がり、アンダーパフォームするアクティブ投信がほとんどでした。

1年経った今、GAFAM+NTは見る影もなくなっています。去年6月までの1年間という短期でみると米国でアクティブがアンダーしたのは55.43%でしたから、ま、約半分近くはインデックスに勝つことができた、ということになります。

信託報酬が0.1%低いことを見つけて大威張りするマネー雑誌があったり、私としてはガッカリもしたし、世間はそういうものかと納得もしたのが、昔見た「10万円(の投資元本)で10年で1000円も違う!」という見出しでした。

信託報酬の0.1%よりもファンドマネージャーの腕でしょ、と私は千回も胸の中で叫び、百回以上、お客様に(セミナーも含め)伝えました。その典型がキャピタル世界株式ファンドです。これは日本の投信ですが、その運用は99%以上、米国のNew Perspetive Fundに投資してしまいます。

米国ニューパースペクティブファンドはキャピタルグループが1973年3月13日から運用を開始した、歴史あるファンドです。あと2か月で丸50年です。残高は1073億ドルですから、132円換算で14兆1600億円という巨大さです。ちなみに、日本のネット最大手SBI証券の投信残高を全部合わせて5兆6112億円(2023年3月)です。

私は「運用が上手いから、世界の皆がお金を預け、代が変わっても預け続ける」のだと思っています。私が、歴史あるファンドで、大きなファンドを信頼する、理由がここにあります。

さて肝心の実績です。キャピタル世界株式ファンドの販売用資料によれば、「1973年3月末に100万円を投資したと仮定した場合、2022年7月末現在で約86倍の8588万円(年率リターン9.4%)となり、この間の全世界株式の約27倍(年率リターン6.9%)を大きく上回っています」となっています。

さらに、「この実績は購入時手数料3%、信託報酬等費用年率1.72%を控除しています」とも書いてあります。 10年で1000円も違う、という淋しい考え方とは大違いです。

自分の老後資金を10年、20年預けて運用してもらうのに、または子供のお金を30年、40年という期間を預けるとして、預け先に5年とか10年の歴史しかない投信だとか、残高が1000億円以下だとかの投信は、ちょっとね、と筆者ヘンデルは思うのです。それならシンプルに全米株式連動だとか、全世界株式連動で費用の少ない投信で、という選択は正しいと思うのです。

ただ、条件反射的に「投信ならインデックス投信だ」というネット的・短絡的考え方は見直してみてはどうですか、と提案する次第です。

今日ご紹介したキャピタル世界株式ファンドを運用するキャピタルグループだけでなく、フィデリティやティー・ロウ・プライス、アライアンス、ゴールドマンなど、長期にわたって高い運用実績を続ける巨大なアクティブ運用の会社はいくつもあります。

当然、高い運用実績でないと淘汰されてしまいます。各社の投信は1本1本、運用の考え方、スタイル、投資対象が驚くほど違います。古いファンドほど個性的だと思っています。ぜひ自分でもお気に入りを探してみてはいかがでしょうか。

 

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その② 2024年1月、新NISA開始へ iDeCoは?

令和5年税制大綱のなかで「資産所得倍増計画プラン」関連要望として「NISAの抜本的拡充・恒久化」がありました。今後、大綱をもとに法案が作成され、2月に改正法案が国会で審議されて3月に成立、4月施行という運びが通常です。現在は安定政権ですから、このまま通る可能性が高いと言えるでしょう。

この内容は金融機関の端くれの現場で、私が期待していた内容を、遥かに上回るものでした。下は金融庁HPから筆者ヘンデルがブログ上に要点を写したものです。正確、詳細は金融庁HPをご覧ください。

    つみたて投資枠    成長投資枠
年間投資枠     120万円     240万円
非課税保有期間     無期限化     同左
非課税保有限度額つみたて+成長で1800万円
簿価残高方式で管理
(枠の再利用可能)
     同左

 ※成長枠は1200万円(内数)
口座開設期間     恒久化     同左
投資対象商品積立・分散投資に適した一定の
投資信託(現行のつみたてNISA
と同様)
上場株式・投資信託等(①整理・監理銘柄、②信託期間20年未満、高レバレッジ型及び毎月分配型の投資信託等を除外)
対象年齢     18歳以上      同左
現行制度との関係2023年末までに現行の一般NISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用 
※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可
      
      同左

私がまず何に驚いたかというと、最大で元本1800万円が非課税になることです。なんという大盤振る舞いでしょうか。先日、年金2000万円問題が話題になったところです。ほぼそれに等しい金額の運用は非課税だ、ってことです。

しかしそもそも、です。2022年8月までの1年間にdodaサービスに登録した約56万人のビジネスパーソンの平均年収は20代が342万円、30代が435万円、40代が495万円、50代以上が596万円、だそうです。ということは、ほとんどの日本人にとって、毎年「つみたて+成長」で年360万円の投資枠をフルに使うのは非常に困難だということになると思われます。(すでに貯蓄があって、そこから回す人は別です)

「いやいや、毎年360万円ずつ5年間投資に回す、なんてのは無理なのはわかってる。20年がかりで埋めるんだ」という考えもあるでしょう。それはアリです。生涯非課税ですから。しかし更にいうと、配偶者と合わせたら世帯で3600万円!の元本が非課税になるというわけです。多くの日本人には手が届かない・・んじゃないでしょうか。。  この制度を使う使わない、どう使う、によって、ムチャクチャ格差を助長することになる気がします。

2つめ、驚いたのは1800万円の枠の再利用が可能ってことです。ただし、年間投資上限360万円はあるので、極端な例では、毎年360万円ずつ投資して、5年で1800万円投資しました、5年目に全部売りました、とすると、6年目には360万円の枠が復活する、ってわけです。

これは重要です。現行NISAでは損切がしづらかったです。損益通算できないし、ロールオーバーするのでしょうがない、という状態です。来年からの新NISAは、後日要るお金で、いずれ売るお金でもOKってことです。益なら非課税、損ならしょうがないけど、売っちゃっても来年またはそれ以降に新たに非課税で投資できます。総枠で1200万円または1800万円になるまでは。

つみたて投資は毎月10万円が上限です。といっても毎月10万円投資できる人は少ないかもしれません。あとで述べますがiDeCoとの割り振りもありますし。つみたて投資の銘柄は、何も考えず「S&P500連動投信」か「全世界投資」が良いと思います。

実はひと捻りした銘柄をご紹介したいのですが、それは次回ということでご了解ください。(もう長くなりましたので) 

ちなみに、私の長男にはS&P500連動積立、長女には世界バランス型積立(株+債券)、私自身は確定拠出年金で、あるアクティブ投信で積立もどきをしています。

私としては成長投資枠でもインデックス投資が主となって良いと思います。個別株投資はなかなか勝てるものではありません。

ウォーレン・バフェットという名前を聞いたことがあると思います。去年のフォーブスでは世界第5位の資産家です。1180億ドル(15兆5000億円)です。彼は株式で財産を作りました。その彼が妻に対し「自分の死後は資産の90%をS&P500に連動するインデックスファンドに投資し、残りの10%を債券に投資するよう推奨」しているのは有名な話です。ただし、資産の85%は寄付すると発表しています。

ただ、リタイア層のかた(私もですけど)で配当ニーズがある場合、現在の日本には配当利回りが高い銘柄が増えましたので、配当を期待して投資するという考え方はあると思います。(配当まで非課税になるとは確認できていません。たぶん大丈夫だと思います)

前回のブログその①に記したように、今年は10年に1度のチャンスの年だと思っておりまして、なるべく早く、今年のNISA枠は埋めていきたいと思っています。今年のNISA枠は来年以降も有効ですから。つみたてNISAは20年有効です。

ところで老後に備えての投資としてはもう一つ、確定拠出年金制度があります。特に自営業者のiDeCoは強力です。自営業者は毎月68000円が積立可能、12カ月で年額816000円を積み立てて、これが所得控除となり、運用中は値上がり非課税、受取は公的年金等控除、退職所得控除の対象になるのです。

配偶者がいればiDeCoも更に倍!ですし、青色申告の人でしたら配偶者を専従にして給与控除も可能です。 ・・・とはいえ、この制度も、私の娘のような零細自営業者には、60歳まで下せない(年金ですから)こともあってとてもフルには投資できません。 

新NISAと同時に、企業型確定拠出年金またはiDeCoの、どちらを優先するかは人それぞれとしか言いようがありません。

NISAはとにかく最後まで売却したとき非課税です。しかし損で売却すると、損益通算できません。

一方、確定拠出年金は所得控除です。値上がりしなくっても所得税が減る分だけ、実質プラスになると言えます。受取の時は、課税とはいえ優遇税制です。退職金控除は積んだ年数に年あたり40万を控除して、それを超えた分は1/2にして所得税です。年金受取りの場合は公的年金等控除が適用されます。 ※概略を記しています。詳しくは国税庁HPでご確認ください。

最後に余談です。筆者ヘンデルの感覚です。コロナ対策も、老後の年金も、国土の防衛費も、自分でやってね、自分で守ってね、という時代になったという気がしています。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。

経験に基づく投資の話 その① 今年は10年に一度、いや40年に一度の買い場かも・・除く日本

昨年末まで、私は金融機関の端くれに勤務しておりました。でも、5年前に60歳で退職金をもらうまで、ほとんど自分では株式投資はしてきませんでした。子供にお金がかかって投資に回せるお金がなかったことがあり、また、お客様と一緒のものに投資をしたら、お客様へのアドバイス・判断が微妙に狂うのではないか、などと考えて、控えてきたのです。自分が買いたいもの、または買ったものをお客様にも買ってもらいたくなるのが当然ですが、だから判断にバイアスがかかるだろうと思ったからです。

60歳になって退職金が入り、「65歳まで再雇用」の立場となって、日々の営業とはかなり切り離されたこともあり、社員投資(旧勤務先ではこう呼びます)を開始しました。

65歳になりまして、ハローワークに通う身となりました。そこで、カッコよく言えば「40年以上培ってきた経験に基づく相場の話」、悪く言えば「経験に縛られて、いい加減にしとけ的ヨタ話」を、今後、本ブログで綴って参りたく思います。

表題にしましたように、現在ひょっとしたら40年ぶりの買い場かもしれない、と思っています。もちろん何時(いつ)が、なんてシャープなことは神様じゃないとわかりません。なので私は去年秋から毎月、投信積立もどきを開始しました。

「投信積立もどき」というのは、私の確定拠出年金は去年春に全て銀行定期にスイッチングしておりまして、10月から毎月に分けて、自分で、ある投信に再びスイッチングしているのです。自分で投信積立を行っているのです。

インフレに対する米国金融引き締めによって、アメリカや世界の株式市場が去年年初から下落を始め、もっと下がると見込んで、春には銀行定期に逃げ込んでいたのです。秋頃からはインフレがピークアウトの兆しが出てきたかなと思い、また株価は結構十分に下がったよね、とも思いまして時間分散(毎月)で投信買付けを再開したのでした。

選択した投信の銘柄については、後日紹介します。

さて10年に一度か40年に一度の買い場、の理由です。何十年も金融機関の端くれで生きてきた私には「10年に一度危機がくる」という経験則ですけど、これを肌で知っていました。

1973年オイルショック(第4次中東戦争)

1979年第2次オイルショック(イラン革命)

1987年ブラックマンデー

1997年アジア通貨危機

1998年ロシアデフォルト

2000年ITバブル崩壊

2008年リーマンショック

2020年コロナショック

2022年コロナショックに起因するインフレ、それに対応する金融引き締め

だいたい、10年代に1回、危機が巡りくる勘定です。1990年日本のバブル崩壊は専ら日本だけの出来事と思われ、上記リストには入れていません。ご注目いただきたいのは、日本を除く世界の(特にアメリカの)株式市場は毎回、危機を乗り越えてきたという事実です。

長期で言えば、日経平均は32年前の高値38915円をいまだに更新できていないどころか2023年1月現在26000円程度なのに対し、SP500 (アメリカの代表的株価指数)は当時350ポイント程度だったものが、今は3900ポイントどころと10倍を超えているのです。

30年という期間は結構重要で、30台で資産形成を始めようという人たちが60台で引退を迎える時間になるということです。値下がりしている日本と10倍になったアメリカ。リタイア後の彼我の格差はベラボーです。

でも、実は日本でも、バブルのピークから毎月月末に一定額を買い付けてきたとしたら、ざっと2倍にはなっているのです。けれど、所詮2倍です。・・・銀行に置キッパよりは、マシだったかしら。

業界の人でなくても記憶にあるかと思います。リーマンショックは「100年に一度の危機」と言われました。米国は100年に一度の危機を乗り越えてきたわけです。これは逆に言うと当時、100年に一度の買い場だった、と言えることになります。

今、インフレ退治のための金利上昇で株式は下がっています。米国のインフレは40年ぶりだそうです。ということは、今、40年ぶりの買い場が来ているのかもしれません。

10年に一度の巡りくる危機というパターンで言うなら、去年から今年にかけて買っておけば、この先の9年の間、株式市場はバラ色だ、ということになります。

※このページに書かれた数値、内容等については、筆者ヘンデルの調べであり、意見です。記載する内容は出来るだけ正確なソースに基づくよう心掛けていますが、未確認の内容を含む場合があります。ここに記載された情報を参考に金融商品などの投資を行った場合、その結果は自己責任です。